2021 Fiscal Year Research-status Report
学習時のメディア・マルチタスキング習慣の影響:縦断調査に基づく因果関係の検討
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18K13242
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
田島 祥 東海大学, スチューデントアチーブメントセンター, 准教授 (60589480)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マルチタスキング / 学習時のメディア使用 / 大学生 / web調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
現代の学習環境にはメディアがあふれている。学習に寄与する有効活用がある一方で、「ながら勉強」などと称される、集中や理解の妨げとなりうるメディア使用もある。本研究は、学習時のメディア・マルチタスキングの実態やその効果、それに関わる個人差要因等について検討することを目的としている。 令和三年度は、これまでに実施した大学生を対象とした調査データの更なる分析として、学習時のメディア・マルチタスキングとその効果に対する態度との関連を検討した。態度尺度の因子分析結果から、ポジティブな効果として「知識・理解に関する側面」と「感情的側面」が抽出され、ネガティブな効果は1因子にまとめられた。重回帰分析の結果、授業中の学習に関連したメディア・マルチタスキングは知識・理解へのポジティブな態度と、学習に関連しないメディア・マルチタスキングは感情的側面へのポジティブな態度と正の関連がみられた。授業外の勉強中に関しては、学習に関連したメディア・マルチタスキングは2種類のポジティブな態度と正の関連を持ち、学習に関連しないメディア・マルチタスキングは感情的側面のポジティブな態度と正の関連を持っており、学習場面によって異なることが示唆された。ネガティブな効果に対する態度はいずれのメディア・マルチタスキングとも関連しなかった。 また、メディア・マルチタスキングの一形態として、コミュニケーションアプリを使って常に友人とオンライン接続して共に勉強するスタイルに着目し、大学生を対象とした実態調査を行った。その結果、約75%がこのような勉強法を知っており、そのうち約70%が経験者だった。このような方法で勉強する目的や理由として、学習内容の理解を助けることや、モチベーションの維持、学習環境を整えるためといった点が挙げられた。その一方で、学習を妨げる要因についても認識されていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、学習時のメディア・マルチタスキングに関する実態や個人差要因等について調査を行い、分析を進めている。また、成果を学会で発表しており、おおむね順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、学習時のメディア・マルチタスキングに関連する要因や効果について検討を進める。新型コロナウィルス感染症が落ち着きを見せ、対面での授業に戻りつつあるなか、遠隔での学習に対する様々な利点も見いだされ、一部の授業では引き続き遠隔での実施が継続される状況にある。また、家庭での学習においても多様なメディア・マルチタスキングの形態がとられている。こうした状況を鑑み、調査項目や調査の実施方法を検討して研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
計画に沿って研究を進め、成果を国内外の学会で発表する予定だったが、新型コロナウィルス感染症の影響によりオンライン開催に変更になった関係で、海外出張が取りやめとなった。また、国内での出張旅費の支出も減ったことにより、次年度使用額が生じた。 繰り越し分の助成金を活用し、当初の研究計画に基づき研究を遂行する。
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