2019 Fiscal Year Research-status Report
国際教育協力における授業アーカイブを活用した授業研究継承モデルの開発
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18K13245
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
今野 貴之 明星大学, 教育学部, 准教授 (70632602)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 教育工学 / 授業研究 / 教師教育 / 授業アーカイブ / 国際教育協力 / SDGs |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、国際教育協力のひとつとして、授業アーカイブを活用し、教育方法・技術が現地の教師に継承される授業研究モデルを開発することである。 2019年は以下の2つを進めた。ひとつは、研究協力校であるニランジャナ学校における授業研究を、拡張的学習論の枠組みから分析し、授業アーカイブを用いる過程およびその問題点を整理した。その結果、児童生徒の授業への反応から教師の授業改善への意欲向上がされること、授業研究で授業アーカイブが用いられることによって、個々の教師の知見が他の教師にも共有されること、その知見を自身の授業へ適応しようと心がけていることが示された。さらに新しい活動の創出による構造的問題が露呈した。もうひとつは、授業アーカイブを用いた授業研究を円滑におこなうための促進要因と阻害要因を管理職や教員にインタビューし情報収集に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、2つのことを行なった。ひとつは拡張的学習論から授業アーカイブを用いる過程およびその問題点を整理した。その結果、児童生徒の授業への反応から教師の授業改善への意欲向上がされること、授業研究で授業アーカイブが用いられることによって、個々の教師の知見が他の教師にも共有されること、その知見を自身の授業へ適応しようと心がけていることが示された。さらに新しい活動の創出による構造的問題が露呈した。例えば、教師が授業改善を行うことにより勤務時間の増加を問題として認識していることである。他の教師の授業記録を参考に自身の授業を改善しようと試みるが、これまでの授業準備よりも時間がかかるため、勤務時間が増したり家族と過ごす時間が減ってしまうという問題であった。 もうひとつは、授業研究の促進要因と阻害要因を管理職や教員にインタビューし情報収集をおこなった。また、授業の参与観察をおこない教員との議論や、ガヤ市の公立中学校の校長先生へのインタビューも実施できた。さらに研究対象校やそこで働く教師をめぐる状況が日々変化する中で、教師の授業力量を向上させるような授業研究の実施方法について、これまでとこれからについて合意と計画を立てることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、構造的な問題を解消しつつ、蓄積されていく授業アーカイブがどのように用いられていくのか、そのプロセスを明確にしていく。今年同様に、授業研究が実施されていく中で「授業アーカイブを自身への授業に活かすプロセス」「授業アーカイブを用いる際の問題点」を質問の中心とする半構造化インタビューを遠隔において実施する。
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Causes of Carryover |
(理由) 2度の授業研究調査(インド)のための旅費として計上していたが、現地との調整の結果、1度の渡航に変更したためである。 (使用計画) インタビューデータや授業撮影データの書き起こしのためのコンピュータや機材を購入する。
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