2019 Fiscal Year Research-status Report
直感的ウェアラブルシステムによる海女のウニ漁動作技術伝承
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18K13252
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Research Institution | Hachinohe National College of Technology |
Principal Investigator |
細川 靖 八戸工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (50270195)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 北限の海女技術伝承 / 計測システム / 潜水可視化 / 直感的学習システム / バーチャルリアリティ / 技術教育 / モーションキャプチャ / ヒューマンインタフェース・インタラクション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、潜水と採取の海女のウニ漁モーションキャプチャを実現すること。多数の海底画像から小袖海岸の詳細な3次元地形データを生成し、海女の視線カメラ画像を用いVR空間の現実感向上を行うことである。 そこで令和元年度は2年目の段階として、海女の潜水動作マルチアングル海中モーションキャプチャと小袖海岸海中3次元計測、海女の視線映像であるヘッドマウントビューの海中撮影試験も行った。 マルチアングルカメラシステムの改善として、海底用カメラの更新を行い採取動作と潜水動作が一連に撮影可能とした。令和元年度は台風が多く発生したため、小袖海岸の天候が例年よりも悪かった。そのため撮影調査日がずれこみ、令和元年9月27日に、岩手県久慈市小袖海岸にて、北限の海女2名のウニ漁の海中撮影をマルチアングルカメラシステムを用いて行った。また海底調査としてダイバーによる小袖海岸海底の撮影も行った。1名の海女にはヘッドマウントカメラを装着しウニ採取動作の視線映像撮影を行った。水中画像による海底3次元データの生成に取り組み、撮影された1965枚の小袖海岸の海底画像を用いて写真計測用ソフトウェアによる小袖海岸海底の3次元点群データ化を行った。 しかし、当日海の濁りが強く視界が悪かったため、ダイバーの海底撮影は水深を変化させて実施するしか方法がなかった。そのため、写真計測用ソフトウェアでは海底データの生成が一部しかできなかった。そこで、原因を調査するため、本校の吹き抜け玄関で撮影試験を実施し、撮影方法によるデータ生成条件確認の検証実験を行い、原因を確認できた。さらに、海女の動作学習ウェアラブルシステム試作のためのセンサを検討した。 また、これらの研究成果の一部については、情報処理学会エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2019と2019年度電気関係学会東北支部連合大会にて、論文発表や口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究2年目である令和元年度は、当初計画であったマルチアングルカメラシステムを用いて海女の潜水動作海中撮影を実施できた。マルチアングルカメラシステムの改善として、海底用カメラの更新を行い採取動作と潜水動作が一連に撮影可能とした。また、令和元年9月27日に、岩手県久慈市小袖海岸にて、北限の海女2名のウニ漁の海中撮影をマルチアングルカメラシステムを用いて行った。また、その画像を基に、2名の海女の潜水動作(採取)のモーションキャプチャを実施した。台風などの影響で撮影予定を延期したが当日の海中条件が悪く、画像を鮮明にできなかったので、モーションキャプチャは限定的となった。海女の視線映像であるヘッドマウントビューの海中撮影も行った。海女の視線映像は試験的に行ったので事前の画像確認ができず、角度がゆがんだが、状況は十分撮影はできた。さらに、小袖海岸海底の調査としてダイバーに海底撮影を依頼し、1965枚の海底画像を入手できた。3次元CG空間作成用PCと写真計測用ソフトウェアにて、撮影された小袖海岸の海底画像を用いて小袖海岸海底の3次元点群データ化を行ったが、30枚分のみ3次元化できた。その原因を調査するため、検証実験を行った。その結果、当日海の濁りが強く海底が撮影できないため、ダイバーが水深を変化させ撮影アングルも変化したためデータ化できなかったと分かった。小袖海岸は夏~秋季の活動で、海中撮影は海の天候により何度も行うことはできないため、今後再度撮影を行う予定である。さらに、次年度の研究を前倒しして、海女の動作学習ウェアラブルシステム試作のためのセンサを入手し検討を行った。以上のことから当初の計画よりも若干遅れが発生していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究3年目である令和2年度は、当初計画に前年度達成できなかった撮影調査を加えて研究を進める予定である。具体的には、海女の潜水動作マルチアングル海中モーションキャプチャと小袖海岸海中3次元計測を継続する。海女の視線映像であるヘッドマウントビューの海中撮影も継続する。次に海底の3次元計測では検証実験の結果を基に、撮影ダイバーと打ち合わせして安定した撮影移動方法移動を実現して、データ精度の向上を図る。また、生成したデータが膨大なので、仮想空間適用を目的としてデータ削減方法を検討する。海女の動作学習ウェアラブルシステム試作のためのセンサを検討したので、試験的な実装を行う。またウェアラブル化のHMDを検討し評価する。これらの成果を基にシステムウェアラブル化を検討する。現在、海女のウニ漁の潜水動作と学習者自身の動作をVR空間内で可視化する準備を進めているので、進展させる予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は当初予定していた、海中撮影が台風の影響で延期になり、天候や海中の条件が良くないまま、撮影を実施することになった。そのため、小袖海岸の3次元データが十分に生成出来なかった。これにより次年度に再度海中撮影を実施する必要が生じ、研究費不足となるため、研究予定を変更した。そこで次年度使用額が発生した。次年度に再度海中撮影するための物品や経費として使用する予定である。
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