2021 Fiscal Year Research-status Report
直感的ウェアラブルシステムによる海女のウニ漁動作技術伝承
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18K13252
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Research Institution | Hachinohe National College of Technology |
Principal Investigator |
細川 靖 八戸工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (50270195)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 北限の海女技術伝承 / 計測システム / 潜水可視化 / 直感的学習システム / バーチャルリアリティ / 技術教育 / モーションキャプチャ / ヒューマンインタフェース・インタラクション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、潜水と採取の海女のウニ漁モーションキャプチャを実現すること。多数の海底画像から小袖海岸の詳細な3次元地形データを生成し、海女の視線カメラ画像を用いVR空間の現実感向上を行うことである。 令和3年度も前年度に続き新型コロナウイルス感染症対策のため外出や他県からの出張など、人の動きが制限された。このため、システムの体験学習のイベントの実施や、潜水調査、評価のための訪問調査などが中止となり、実施できなくなった。これにより、予定していた海女潜水調査が実施できず、延長申請を行った。 前年度と同様に研究の実施可能性を検討し、可能なことを進めることにした。4年目の段階として、仮想体験システム一式を学習者が装着できるようウェアラブル化を検討し試作実装を行った。小型デバイスに磁気センサを付加して、安価なトラッキングセンサとして利用可能か、評価実験を行いその可能性を検証した。また、小型デバイスを実際に人体装着して3Dエンジンの環境において、実際の小型デバイスのトラッキングデータを仮想空間に反映し、仮想人体を操作できる環境の試作を行った。これにより、簡易なモーションキャプチャが可能であることを示した。次に海底の3次元計測では前回の結果を基に、撮影ダイバーと打ち合わせして安定した撮影移動方法移動を実現した。小袖海岸海底の調査をダイバーに海底撮影を依頼したが、悪天候やコロナ感染拡大による制限などで、令和4年3月に海底撮影が実施できた。前回撮影の2倍以上の4736枚の海底画像を入手できた。 また、これらの研究成果の一部については、オンラインで行われた令和3年度第2回芸術科学会東北支部研究会と27th International Symposium on Artificial Life and Robotics(AROB 27th 2022)の国際会議にて、論文発表や口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和3年度も新型コロナウイルス感染症対策のため人の動きが制限された。このため、システムの体験学習のイベントの実施や、潜水調査、評価のための訪問調査などが中止となり、実施できなくなった。これにより、予定していた潜水撮影調査・出前授業などが実施できなかった。そこで、実施可能な研究を検討し、令和3年度は仮想体験システム一式を学習者が装着できるようウェアラブル化の検討と試作実装を行った。現在使用しているトラッキングセンサ「Colibri」の代替として検討している小型デバイス「M5StickC」には6軸IMUのMPU6886が搭載されている。しかし、これだけでは高精度のトラッキングを行うことは難しいので、3軸磁気センサのQMC5883Lを追加し、キャリブレーションを実装した。そしてBluetooth通信によってPCとの無線通信を可能とした。 このM5StickCを3D物理エンジンであるUnity上でのトラッキングセンサとして利用可能とした。通信方法としてBluetoothを使用し、PC側で仮想COMポートを作成することでUnityとM5StickC間で通信することができた。さらに、仮想人体モデルにトラッキングセンサのデータを適用することで、モーションをリアルタイムに表示することが可能になった。データを記録するモーションキャプチャシステムの試作を行った、これにより手や腕の動作のトラッキングの低コスト化と無線化の可能性が確認できた。海底の3次元計測では前回の結果を基に、撮影ダイバーと打ち合わせして安定した撮影移動方法移動を実現した。小袖海岸海底の調査をダイバーに海底撮影を依頼したが、悪天候やコロナ感染拡大による制限などで、令和4年3月に海底撮影が実施できた。前回撮影の2倍以上の4736枚の海底画像を入手できた。 以上のことから当初の計画よりも若干遅れが発生していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究最終年度である令和4年度は、当初計画に前年度達成できなかった撮影調査を加えて研究を進める予定である。具体的には、海女の潜水動作マルチアングル海中モーションキャプチャと小袖海岸海中3次元計測を実施する。海女の視線映像であるヘッドマウントビューの海中撮影も実施する。次に海底の3次元計測では前年度検証実験の結果を基に、データ精度の向上を図る。また、生成したデータが膨大なので、仮想空間適用を目的としてデータ削減を行う。海女の動作学習ウェアラブルシステム試作のためのトラッキングセンサを検討したので、具体的実装を行う。またウェアラブル化を検討し評価する。これらの成果を基にシステムウェアラブル化を実現する。現在、海女のウニ漁の潜水動作と学習者自身の動作をVR空間内で可視化する準備を進めており、直感的な海女の潜水動作学習システムに進展させる予定である。また、コロナ禍でも出前授業の実施が可能な場合には、海女仮想体験学習システムを用いた出前授業などによる海女の技術伝承に取り組みたい。
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Causes of Carryover |
令和3年度も新型コロナウイルス感染症対策のため外出や他県からの出張など、人の動きが制限された。このため、システムの体験学習のイベントの実施や、潜水調査、評価のための訪問調査などが中止となり、実施できなくなった。これにより、予定していた潜水撮影調査・小学校などでの出前授業などが実施できなかった。 また、海底の3次元計測では前回の結果を基に、撮影ダイバーと打ち合わせして安定した撮影移動方法移動を実現した。小袖海岸海底の調査をダイバーに海底撮影を依頼したが、悪天候やコロナ感染拡大により、現地での撮影予定が延び、令和4年3月になってしまった。そのため、小袖海岸の3次元データが生成出来ず、次年度に解析する必要が生じた。また、ウェアラブル化ではHMD等の調達も必要となり、出前授業などもできなかった。これらを実施するには研究費不足となるため、研究予定を変更した。そこで研究機関の延長を申請したので、次年度使用額が発生した。最終年度に再度海中撮影や出前授業などをするための物品や経費として使用する予定である。
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