2018 Fiscal Year Research-status Report
現象学的アプローチを用いた異文化間における科学教員の科学教育観
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18K13258
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
吉田 実久 神戸大学, 国際文化学研究科, 協力研究員 (40801593)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 科学教育 / 文化研究 / 現象学的アプローチ / 教員 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、現在の日本の学校教員が持つ「理科・科学の学習観」を、他国の学校教員のものと対比させながら、日本の文化的特徴を明らかにし、これからの教育において重要とされる「主体的・対話的で深い学び」と比較しながら、教員自身が自らの学習観を振り返りつつ、専門的成長へと繋げていくことの出来る方策を検討することである。 まず、日本とデンマークの学校教員のインタビューデータの分析を行った。「教科特有信念」という枠組みを用いたが、改めて研究の手法を再検討する中で、信念研究という枠組みではなく、より広く教員の思想・信念を捉える枠組みが必要であることがわかった。 次に、研究の方法として用いる現象学的アプローチについて、先行研究を整理し直した。現在分析に用いているアプローチは、記述的現象学的心理学で用いられるもので、1980年代から利用されているジオルジ(Giorgi, 1985)である。収集したインタビューデータを今回の研究目的(教員が持つ「科学教育とは何か」という考えを明らかにすること)に照らし合わせて「意味単位」に分け、それぞれが持つ意味を解釈しながら、全体として調査対象者が示すものを検討し、表出させていった。しかし、日本とデンマークという事なる教員同士の比較検討は難しく、一般化では無い個別の事例を詳細に分析するために、解釈学的現象学的分析(interpretative phenomenological analysis: IPA)の手法を新たに検討することとした。 そして、平成29年度版学習指導要領において、平成19年の学校教育法の改正以降学力の要素として示された三つの柱、「知識及び技能」、「思考力、判断力、表現力等」、「学びに向かう力、人間性等」の中でも、「主体的・対話的で深い学び」と深い関連がある「学びに向かう力、人間性等」についての教員の考えを中心に検討していくこととした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
妊娠・出産に伴い、国内外の出張に制限があり、また、所属機関の変更により、調査・発表に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、解釈学的現象学的分析(IPA)の手法を用いて分析した日本とデンマークの学校教員の理科・科学の学習観について、投稿論文としてまとめる。 また、所属機関の変更などに伴い前年度に大きく遅れが生じた、教員養成課程における大学生が自らの学習観を振り返るプログラムの開発について、学会発表を通じてブラッシュアップしていくこととする。
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Causes of Carryover |
妊娠・出産、所属機関の変更に伴い、研究に遅れが生じたため
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