2019 Fiscal Year Research-status Report
現象学的アプローチを用いた異文化間における科学教員の科学教育観
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18K13258
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
吉田 実久 神戸大学, 国際文化学研究科, 協力研究員 (40801593)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 科学教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、現在の日本の学校教員が持つ「理科・科学の学習観」を、他国の学校教員のものと対比させながら、日本の文化的特徴を明らかにし、これからの教育において重要とされる「主体的・対話的で深い学び」と比較しながら、教員自身が自らの学習観を振り返りつつ、専門的成長へと繋げていくことの出来る方策を検討することである。 まず、日本の文化的特徴を明らかにするため、前年度に引き続き、解釈学的現象学的分析(interpretative phenomenological analysis: IPA)の手法を用い、日本と他国(南アフリカ・デンマーク)の科学教員のデータの分析・論文執筆を行った。日本の教員が「分かる・理解する」ということを重要視していることがわかった。 また、教員自身の学習観を振り返る方法を検討するにあたり「科学の学びを楽しむ」ことに着目することとした。まず平成29年度版学習指導要領において、平成19年の学校教育法の改正以降学力の要素として示された三つの柱「知識及び技能」、「思考力、判断力、表現力等」、「学びに向かう力、人間性等」の内、最後の「学びに向かう力」をどのようにして学習者が主体的かつ持続的に身につけ、育み続けるのかを検討した。その結果、「主体的・対話的で深い学び」を実現するためには、学びを楽しむという情緒的な側面が重要であるという仮説を導き出した。これに関連し、学会発表を通じて大学生が学ぶ・教えるを楽しみ、かつ持続的な学びに繋がった事例を紹介した。また、教員自身が教え・学ぶことが成功したと感じた場合の、日本と他国の違いについても発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
国内外の出張に制限があり、調査・発表の進捗が計画よりも大幅に遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
大学、学校における学びの現場が変化することに伴い、前年度に計画していた調査内容を大きく変更し、オンライン上でも大学生が学びを楽しむという情緒面を分析する方法を新たに検討する。 今までの研究成果から導き出された日本の教育の特徴である「分かる・理解する」と、学習者の「学びを楽しむ」が両立される学びに必要な要素を今後検討し、学習観の特徴を明らかにする。
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Causes of Carryover |
国内外の出張に制限があり、研究活動、国内外の調査・発表に遅れが生じた。 研究対象・調査方法を変更するに伴い、新たに資料収集や備品の調達を予定している。
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Research Products
(4 results)