2019 Fiscal Year Research-status Report
小学生の高額課金問題に対する消費者力育成を目指した数学教育学的アプローチ
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18K13262
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
口分田 政史 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(教員養成), 講師 (50806635)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 小学校 / 確率 / 期待値 / 横断的調査 / リスク |
Outline of Annual Research Achievements |
スマートフォン利用者の低年齢化に伴う有料電子くじに対する高額課金問題など,国内の児童の不確実な事象に対する判断力の弱さは社会問題化している。こうした新たな消費スタイルが浸透する中,不確実な事象を合理的に判断する力の育成はより一層求められている。また諸外国の確率教育の現状は,日本と同じように確率学習が中等教育以降に位置づくカリキュラムを採用したグループ(Common Core State Standards Initiative, 2015; Department for Education, 2014など)だけでなく,確率の内容が11歳未満の初等教育に位置づくカリキュラムを採用したグループ(オーストラリアACARA,ニュージーランドのナショナルカリキュラム,ドイツなど)も存在する。そこで本研究では,小学校段階における確率教育の検討課題を整理し,国内の児童のインフォーマルな確率・期待値理解の実態を把握することから,小学校段階において確率・期待値概念形成を促進する教材開発を目指す。 平成31年度は,前年度に実施した調査結果を踏まえ,小学校段階における児童を対象にした横断的調査を実施した。Sieglerのルール評価アプローチを用いて分析した結果,児童が持つインフォーマルな確率・期待値判断の発達的特質が明らかとなった。さらにこれらの結果を踏まえ,小学校第1学年の児童を対象にした確率教育の実践の再分析を行った。その結果,確率の学習時期の妥当性については今後さらに検討する必要があるものの,小学校段階における確率教育が一定程度の意義を持つことが示された。これらの一部は,「小学校第1,2,3学年における確率・期待値判断」,日本教授学習心理学会第15回年会,「小学校第1学年を対象とした「確率」教育の実践」,数学教育学会誌 60(1,2),113 - 121などで明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成31年度は,小学校第1学年から第6学年までの児童を対象にした横断的調査を実施し,結果の分析まで進めた。このように概ね当初の計画通り進んでいることから,上記の自己点検による評価区分とした。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は,調査結果の分析を進めることから,これまでの研究で課題として示された定性的推理から定量的推理への移行を促進する教授方略を明らかにし,小学校段階における確率・期待値判断に関する教材開発を行う。
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Causes of Carryover |
参加・発表を予定していた国際会議が急遽延期されたため次年度使用学が生じた。使用計画は,延期された国際会議が令和2年度にオンラインで実施されるため,それに向けた論文の作成費用,及び掲載費用等に充填する予定である。
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