2020 Fiscal Year Research-status Report
小学生の高額課金問題に対する消費者力育成を目指した数学教育学的アプローチ
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18K13262
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
口分田 政史 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(教員養成), 講師 (50806635)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 小学校 / 確率概念 / 期待値判断 / リスク概念 |
Outline of Annual Research Achievements |
スマートフォンやタブレット端末利用者の低年齢化に伴って有料電子くじの高額課金問題など,国内の児童の不確実な事象に対する判断力の弱さは社会問題化している。新たな消費スタイルが浸透する中,不確実事象に対する合理的な意思決定能力の育成はより一層求められている。実際に諸外国では,意思決定能力と深い関連性がある確率領域の学習内容は小学校段階においても重要な学習内容の一つとして議論されている。例えば現在,オーストラリア,ドイツを始め,少なくとも22か国以上において小学校段階で確率概念に明示的な焦点を当てた学習内容が扱われている。一方で国内の小学校段階では,第6学年に「起こりうる場合の数」が扱われることに留まっており,1968年以降大幅な改訂は行われていない。こうした確率教育の現状に対して,今日の社会情勢に十分に対応できていないことが問題視されている。こうしたことから本研究は,小学校段階における確率教育の検討課題を整理し,学習者の確率・期待値概念の認知内容の特徴を解明することから,小学校段階における確率教育で有効と考えられる教材を開発すること目指すものである。 令和2年度は,小学校段階の学習者を対象に実施した確率・期待値概念に関する調査結果の分析を進め,小学校段階における確率教育において有効と考えられる教授原則を5つ導出した。さらに導出された教授原則に基づいて教材開発研究を進めた。これらの一部は,「小学校高学年における期待値の大小判断」,教授学習心理学研究15(2) 47 - 59,A Cross-sectional Examination of Children’s Judgment of Expected Value,Das war die GDM-Onlinetagung 2020などで明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度は,確率・期待値概念に関する調査結果の分析を進め,教授原則の導出及び教材開発研究まで進めた。しかし研究成果(一部)の公表が当初の計画より遅れていることから,上記の自己点検による評価区分とした。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は,これまでの調査研究や教材開発研究で明らかとなった知見を整理し,研究成果の公表を進める。加えて,追調査を行うことから,新たに導出された検討課題の解明を進める。
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Causes of Carryover |
参加・発表を予定していた学会・研究会が中止及び延期となったため,次年度使用額が生じた。使用計画は,研究成果の公表に向けた論文作成に関わる費用に充填する予定である。
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