2020 Fiscal Year Research-status Report
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18K13268
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 翠 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 特任助教 (60816867)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 社会的模倣 / 社会的学習 / 配偶者選択 / 顔魅力 |
Outline of Annual Research Achievements |
配偶者選択における社会的学習(Social learning)あるいは配偶者選択の模倣(Mate choice copying)とは、配偶者選択において他の同性個体が選択した異性個体に対して選好が生じたり、他の同性個体が選択した異性個体と類似した(共通する要素を備えた)個体に対する魅力度が高まったりする現象のことを指す(Waynforth et al., 2007; Street et al., 2018)。この現象は、ヒト以外の種において発見され(例えばBennett et al., 1998)、近年ヒト(特に女性)においても同様の現象が確認されるという研究が増加しており(例えばJin-YingZhuang et al., 2019)、配偶者選択の問題を解決するための、領域固有の認知システムの存在も指摘されている(Street et al., 2018)。 本研究は、ヒト女性における配偶者選択の社会的学習あるいは他者模倣が、社会・文化的に形成された現行のジェンダー格差が維持・再生産されることの心理・生物学的基盤システムである可能性に着目し、ヒトにおける配偶者選択における社会的学習・社会的模倣システムの妥当性の検証と適用範囲を確認しようとするものである。配偶者選択における社会的学習に関しては、先行研究では主として顔の魅力認知/異性顔に対する選好の変化が扱われているため、これまで顔の魅力研究の枠組みで研究を行ってきた。本年度は顔の魅力研究の動向を概観し、ヒトがどのような観点(軸)から顔の魅力を評価しているのか、また元々の顔の特徴(形態的特徴)以外の要素がどのように魅力評価に影響を与えるのか、特に元の顔の要素との相互作用や評定者および顔のジェンダーによる効果の差異に着目したレビュー論文を執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は実験刺激の撮影を行うことができなかったため、予定していた実験を進めることが出来なかった。そのため、顔の魅力研究に関するレビュー論文の執筆を進めると共に、オンライン上で入手できる日本人の顔刺激の調査、ならびにオンライン実験の実施方法について情報収集を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、現時点で入手できる顔画像を利用し、予定していたオンライン実験を実施、配偶者選択における社会的学習/模倣研究の妥当性の検証を行う。得られた知見の学会発表、学会誌への投稿を行う。実験室実験に関しても、申請時に予定していた研究を実施し、知見をまとめ、国際誌に投稿する。ただし、実験の実施が困難であると判断された場合には、配偶者選択における社会的学習とジェンダーとの関連に関する展望論文の執筆を行うこととする。
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Causes of Carryover |
実験が実施できなかったことから、利用可能な顔画像データベースの検索、ならびにレビュー論文執筆に向けた文献検索のため、研究補助者の雇用時間を増やした。
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