関係継続の期待が行動理解に及ぼす影響：社会生態学的アプローチを用いた検討

2020 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 18K13270
• Research Institution: Hiroshima University
• Principal Investigator: 小宮 あすか 広島大学, 人間社会科学研究科, 准教授 (50745982)
• Project Period (FY): 2018-04-01 – 2022-03-31
• Keywords: 社会生態学的アプローチ / 関係継続の長さ / 帰属

Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、生まれ育った社会環境でデフォルトとなっている関係の長さが人の行動理解に影響している可能性を明らかにすることである。具体的には、日本のような関係が長く続くことが期待される社会では、アメリカのような短い関係が期待される社会よりも、応報的に振る舞うことが適応的である。このため、長い関係がデフォルトである社会環境で生まれ育った人たちは、人の置かれた状況や文脈に注意を向けてその人の行動を理解する傾向にあるのに対し、短い関係がデフォルトである社会環境で生まれ育った人たちはその人自身の意図や性格などに注意を向けて人の行動を理解する可能性がある。本研究では、この理論的予測について調査・実験を行い、実証的検討を行う。

3年目となる２０２０年度では、２０１８年度までに行っていた調査で得られていた「良い行為では基本的帰属エラーが見られるが、悪い行為では基本的帰属エラーが見られない」という先行研究では得られていなかった結果について精査を行った。その一手として、関係継続の期待によってポジティブな性格に注目するかネガティブな性格に注目するかの傾向が異なる可能性について検討した。この結果を踏まえて、さらに関係継続の期待と行為のポジティブさ／ネガティブさによって内的帰属・外的帰属が異なる可能性について検討する予定である。

Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

コロナ禍において授業準備が過剰な負荷になっているため。

Strategy for Future Research Activity

行為のポジティブさ・ネガティブさ、および関係性という２つの要因が関わっている可能性が示されたので、モデルを精緻化し、仮説を修正する。そのうえで、調査・実験を計画し、検討していく予定である。

Causes of Carryover

研究計画の遅れに伴い、計画通り実験・調査の実施を行っていないため。また学会参加や海外への渡航も行っていないため。調査・実験に使用する予定である。