2018 Fiscal Year Research-status Report
典型的バーンアウトの発生メカニズムに関する多角的検討
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18K13271
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
井川 純一 大分大学, 経済学部, 准教授 (90748401)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | バーンアウト / 実験室実験 / パネル調査 / 情熱 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では仮想的なカウンセリング場面を想定した実験室実験 (研究1)、高バーンアウト状態にある参加者に対して行う後向きコーホート調査 (研究2)、現在の仕事に対する情熱が将来のバーンアウト傾向に及ぼす影響について検討する前向きパネル調査 (研究3) などを用いた多角的検討によって、「頑張りすぎた結果」生じる典型的バーンアウトを操作的に定義し、その発生メカニズムについて検討することを目的とした。 研究1の実験室実験については、学生50名を対象とした繰り返しの実験を行い、報酬が得られない場合の行動の選択について検討した結果、多くの参加者は報酬が得られない場合は行動を変容させた。参加者のこの選択は仮説通りであり、多くの参加者は典型的バーンアウトの定義には当てはまらない行動をすることが示唆された (研究1)。研究3の前向きパネル調査についてはすでに研究開始前に1,000人の介護福祉を対象に開始したWeb調査を行っているため、その第2回調査を行った。現在進行中の分析結果では、ほとんどの情熱指標 (ワークエンゲージメント・理想使命感など) が1年後のバーンアウト傾向を予測しない中で、強迫的情熱のみが後のバーンアウト傾向に影響を与えている可能性を示唆している。研究2については、コーホート調査で行うインタビュー調査の予備調査として50枚の質問紙を配布し、現在回収中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究1・2・3ともに当初の予定よりも数ヶ月程度前倒しで進捗している。理由としては、学生の実験参加者が予想以上に順調に集まったこと、大分県の精神科看護協会のバックアップにより、質問紙配布がスムーズに行えたことなどが挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、初年度に行った実験結果 (研究1)及びパネル調査 (研究3) の結果や関連するデータの分析を行い、結果を国内外の学会で発表する。また、上述のデータに関連し、現在審査中の論文についてもなんらかの形で成果報告に結びつける。 すでに質問紙を配布している研究2については、9月を目処に質問紙の分析を完了し、現場専門職のインタビュー調査を行う予定である。研究1の実験室実験は3年目に予定していたが、その他の研究計画の進捗の状況に合わせて、インタビュー調査と同時期に行う可能性について検討中である。なお、研究3のパネル調査は当年も継続して行う。
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Causes of Carryover |
当初の予定より採択額が減額となったため、学内の競争的資金に応募し採択された。これにより、物品費と調査費が一部補填されたため、少額の繰越となった。繰越費用は、次年度に投稿を予定している英文の校閲費用等に使用する計画である。
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