2019 Fiscal Year Research-status Report
典型的バーンアウトの発生メカニズムに関する多角的検討
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18K13271
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
井川 純一 大分大学, 経済学部, 准教授 (90748401)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | バーンアウト / 実験室実験 / パネル調査 / 情熱 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では仮想的なカウンセリング場面を想定した実験室実験 (研究1)、高バーンアウト状態にある参加者に対して行う後向きコーホート調査 (研究2)、現在の仕事に対する情熱が将来のバーンアウト傾向に及ぼす影響について検討する前向きパネル調査 (研究3) などを用いた多角的検討によって、「頑張りすぎた結果」生じる典型的バーンアウトを操作的に定義し、その発生メカニズムについて検討することを目的とした。 研究1の実験室実験については、3年前に行う予定の対人援助職を対象としたプログラムの開発を行った。卒業間近の対人援助職の学生 (15名) を対象とした予備実験を企画したが、コロナウイルスの影響で実験を中止せざるを得なくなり、1人の予備実験のみに留まった。 研究2については、インタビュー調査の予備調査として50枚の質問紙を配布し分析を行った結果、典型的バーンアウトにまで至るケースが非常に少ないこと、バーンアウトの要因として仕事へのオーバーコミットメントが考えられることなどが明らかとなった。 研究3の前向きパネル調査についてはWeb調査を用いた第3回調査を行った。3波のパネル調査の分析の結果、バーンアウト傾向が後の離職を予測する一方で、ほとんどの情熱指標 (ワークエンージメント・理想使命感など) は離職傾向、バーンアウト傾向を予測しないことが明らかとなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究1・2・3ともに概ね当初の予定通り進捗している。コロナウイルスの影響から予備実験を途中で中止せざるをえなかったが、初年度の計画以上に進んでいたため、研究開始当初の予定から見ると大きな遅れは認められていない。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、2018-2019に行った実験 (研究1)及びインタビュー予備調査 (研究2)、パネル調査 (研究3) の結果や関連するデータの分析を論文として発表する(すでに大部分は学会発表を行っている)。 コロナウイルスの影響から次年度の本実験、インタビュー調査の見通しが立たないこともあり、現在オンライン実験、インタビュー調査を用いた方法論について検討を行っている。なお、研究3のパネル調査については、3波の調査で十分な情報が認められたため、本年度については試行しない予定としている。
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Causes of Carryover |
年度末に予定していた実験やインタビュー、研究ミーティングがコロナウイルスの影響で延期となったことで一部予算を次年度に繰り越した。これらについては、オンライン実験やインタビュー等によって本年度中に執行予定である。
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