2020 Fiscal Year Research-status Report
社会的ジレンマを解決に導く集権罰システム:自生と制度選択の観点から
Project/Area Number |
18K13272
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
大薗 博記 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 准教授 (50709467)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 協力 / 社会的ジレンマ / 公共財 / 罰 / 進化 / 集団 / リーダーシップ / ガバナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、社会的ジレンマ(SD)の解決策として提示されてきた集権罰(集団成員が罰システムに資源を支援し、それを元手に罰を課す)について、システム管理者(集団の統治者)側の視点を導入して、「集権罰による統治は、いかにして生まれ、選択されるのか?」を明らかにすることを目的としている。当該年度は、「統治者と集団成員による罰制度選択」の研究に着手する予定であったが、コロナ禍の状況で実験室実験が困難となり、また、12人以上の集団を形成する必要があったため、ドロップアウトの多いオンライン実験で十分なデータを得ることは不可能と判断し、実施を断念した。 また、去年度から引き続き、「連帯罰(非協力者だけでなく、非協力者が生じた集団成員全体を罰する)」が集団協力にどのように寄与するかの実験室実験を実施した。その結果、これまでの結果が再現されず、頑健性に疑問が持たれた。また、オンラインでの一般サンプルを対象に、連帯罰のルールと個人間罰の導入の有無を操作した実験を行った。具体的には、「個人の貢献量が一人でも基準を満たさなければ、全員罰せられる」というルールと「集団全体の総和が基準を満たさなければ、全員罰せられる」というルール、そして、「個人の貢献量が基準を満たしていない個人だけが罰せられる」というルールを比較し、その罰の後、個人間で罰を行使し合えるか否かを操作した。予想としては、「自分は貢献しているのに、貢献していない他者のせいで自分も罰を受ける連帯罰の方が、怒りによる罰が増え、結果として協力が促進される」と考えたが、実際にはそのような結果は得られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の影響で、実験室実験の実施が難しく、それが研究の進行を妨げた。それでも、実験室環境を整え、十分ではないが実験室実験を行えた。また、オンライン実験のスキルを身につけ、一般サンプルでの実験も実施したが、スキル獲得に時間がかかり、十分なデータ取得ができなかった。これらにより、全体的に研究進度は遅れ、「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍における実験室実験の実施環境整備ができたため、「統治者と集団成員による罰制度選択」の研究について着手する。また、オンライン実験のスキルも現状では十分に身に着けたため、連帯罰研究について、様々な要因(特に、個人間罰ではなく、個人間リワードの導入)に着目して、オンライン実験を行いたい。また、可能であれば、オンライン実験の強みを生かして、日本だけでなくアメリカなどの海外のサンプルを対象とした実験を行い、文化比較も行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、実験室実験が困難となり、その環境整備に時間がかかった。また、感染状況により、実験を断念せざるを得ない事態も生じた。オンライン実験に活路を見出したが、そのスキルを身に着けるのに一定の時間がかかり、十分データ取得はできなかった。それらのため、研究費の支出は少なくなり、次年度使用額が多くなった。 現状では、コロナ禍における実験室実験の実施環境整備ができたため、「統治者と集団成員による罰制度選択」の研究について着手する。また、オンライン実験のスキルも現状では十分に身に着けたため、連帯罰研究について、様々な要因(罰のルールや個人間インタラクションの種類)に着目して、オンライン実験を行いたい。また、可能であれば、オンライン実験の強みを生かして、日本だけでなくアメリカなどの海外のサンプルを対象とした実験を行い、文化比較も行いたいと考えている。そのうえで、それらの結果をまとめて、国際的査読誌への投稿をしたい。
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