2020 Fiscal Year Research-status Report
協力の文脈における人間の行動規則の推定:計算論モデルからのアプローチ
Project/Area Number |
18K13276
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
堀田 結孝 帝京大学, 文学部, 准教授 (90725160)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 協力 / 利他行動 / 向社会性 / 計算論モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は,協力の文脈における人間の行動パターンを実験データへ計算論モデルを当てはめる解析を通して検討することにある。 2020年度は,これまで実施した研究成果の論文執筆とフォローアップの研究の構想に着手した。 2018年度と2019年度において,同じ他者と繰り返し交換を行う状況(直接交換)と毎回交換相手が変わる状況(一般交換)で実験を実施し,参加者の行動データを収集した。進化ゲーム理論においては,相手の前回の行動に対して返報する戦略(tit-for-tat)以外にも,相手の行動だけではなく自身の前回の行動も考慮する戦略(e.g., win-stay loose-shift)の有効性が知られている。理論研究に基づき比較対象のモデルを選定してモデル比較を行ったところ,相手の行動のみに反応する単純な互恵モデルよりも,自分と相手の前回の行動両者を考慮するモデルが参加者の個人差を含む実験データに対して高い予測力を有することが示された。研究成果はPLOS ONEに掲載された。 フォローアップ研究については,具体的な研究課題として,集団における利他行動の行動規則の推定や攻撃行動など反社会的行動のモデリングを検討している。しかし,新型コロナウィルスの流行による影響に伴い,大学内の施設で学生を対象にした研究参加募集をすることが困難な状況となり,研究の実施方法の変更が必要となった。そのため,Webを介して実験を実施する方向に検討し直し,2020年度はその準備に費やすこととなった。手続きが確立して実施の目処が立ち,2021年度からはデータの収集が可能となる見込みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度はこれまで取ったデータの解析や論文執筆に集中し,論文としてアウトプットを出すことができた。概ね順調に成果は出せている一方,新型コロナウィルスの流行により2020年度はデータ収集を十分にできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度はWebで実験を行うための環境を整えた。2021年度はクラウドソーシングを利用して,追加研究のデータの取得及び論文の執筆に努める。
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Causes of Carryover |
理由:新型コロナウィルスの流行により,学会出張及び研究施設での実験実施を取りやめることとなった。その結果,出張や研究参加者への謝金にかかる支出が当初の想定以上に少なくなった。
使用計画:2021年度はクラウドソーシングを利用して参加者を募集するため,それに伴う利用料等を支出として充てる。また,論文の校閲及びオープンアクセスに伴う費用に充てる。
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