2021 Fiscal Year Research-status Report
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18K13287
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Research Institution | Kagoshima Immaculate Heart University |
Principal Investigator |
中嶋 智史 鹿児島純心女子大学, 人間教育学部, 講師 (80745208)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 顔記憶 / 関係流動性 / 自集団バイアス / 最小条件集団 / 他人種効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、社会における対人関係の形成や維持に関する選択肢の多さの指標である関係流動性に着目し、関係流動性の高さが顔記憶に及ぼす影響を検討することを目的としている。平成30年度~令和2年度までの研究により、日本人参加者を対象とした実験により、他人種の顔記憶成績が自人種の顔記憶成績よりも顕著に低下する他人種効果について、参加者の関係流動性の高さによる差がみられることが示された(研究1)。 また、人種以外の顔の特性についても同様の傾向がみられるかを検討するために、まず予備的な検討として日本人参加者を対象として、無意味な性格検査などに基づいて偶発的な集団(最小条件集団)を形成する最小条件集団パラダイムを用いて、他集団の成員の顔と比較して、自集団の成員の顔をよりよく記憶する自集団バイアスがみられるかを実験的に検討した。その結果、海外で見られる結果とは異なり、自集団バイアスが見られなかった。このことから、日本人と欧米人では自集団成員と他集団成員に対する認知の仕方が異なる可能性が示唆された(研究2)。 令和2、3年度は、米国の参加者のデータを取るとともに、日本の参加者のデータを取る予定であったが、コロナの流行状況により、データ収集のための往来や移動が困難であり、いずれの国のデータの収集も十分に行うことができなかった。したがって、クラウドソーシングサービス等を用いた非対面での大規模データ収集に切り替え、そのための実験プログラムの開発を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
米国および日本各地でデータ収集を行う予定であったが、コロナ感染の流行状況が続き、データ収集のために往来することや、参加者を募ることが困難であったため。また、個人的な事情によりクラウドソーシングのためのプログラム開発が十分に進まなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
データの収集について、コロナの流行状況を見極め、海外の研究協力者と密に連絡を取り、可能な限り対面でのデータ収集を実施するとともに、クラウドソーシングサービスを利用して日米の大規模データを収集する予定である。また、研究を迅速に進めるため、実験の遂行を担う研究協力者を雇用する等の方策を取る予定である。
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Causes of Carryover |
コロナの流行に伴い、予定していた海外との往来のための予算、学会への参加費および旅費、実験協力者への謝礼などの支出が無くなったため、次年度への繰り越し金が発生した。次年度は、クラウドソーシングサービスを利用するため、オンラインで実験を実施するためのシステムの構築や、海外も含めた大規模サンプルデータ収集のために使用する予定である。
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