2018 Fiscal Year Research-status Report
Urban-Rural Differences in Happiness: A Socioecological Approach
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18K13288
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
浅野 良輔 久留米大学, 文学部, 講師 (50711909)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 都市居住 / 幸福感 / 2次分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30 (2018) 年度は、アメリカと日本における代表性の高いデータの2次分析を行い、都市居住者率の高さと幸福感の高さがどのように関連しているかを検討した。アメリカ人については、1972年から2014年の間に行われた総合的社会調査(General Social Survey; N = 54,851)のデータを使用し、日本人については、2000年から2012年の間に行われた日本版総合的社会調査(Japanese General Social Survey; N = 21,501)のデータを使用し、それぞれの幸福感に関する設問を分析した。これらのデータに、国際連合(United Nations, 2018)が公開・頒布しているアメリカと日本における年次ごとの都市居住者率のデータを結合した。その結果、アメリカでは仮説通り、都市居住者率の高い年次ほど幸福感が低かった。一方で、日本でもやはり仮説通り、都市居住者率の高い年次ほど幸福感が高かった。さらに、データが年次ごとに集計されているという問題を考慮し、マルチレベル分析を行ったところ、回答者一人ひとりの性別や年齢を考慮してもなお、同様のパターンが認められた。これらの分析結果は、アメリカにおける都市居住は幸福感の低さと関連しているのに対して、日本における都市居住は幸福感の高さと関連していることを示唆している。こうした研究成果について、日本社会心理学会第59回大会、ならびに日本心理学会第82回大会にて報告を行った。現在は、査読付き論文の出版に向けた執筆作業を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アメリカと日本における代表性の高い社会調査データの2次分析を終了し、学会発表を行うとともに論文執筆を進めることができているため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、令和1 (2019) 年度には、都市部と非都市部の居住者を対象とした調査を行う。また、再来年度以降を見据えて、縦断調査や実験の実施に向けた研究計画を具体化させる。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたのは、当初計画していた図書や統計ソフトなどの物品費、および2次データ整理に要する人件費を所属機関の個人研究費から支出できたためである。また、家庭の事情により、米国学会(SPSP@Portland)の参加を見送ったため、国外旅費も使用しなかったことも理由として挙げられる。平成30 (2018) 年度の残額は、次年度に行う都市部と非都市部における調査業務委託費に流用したり、学会や研究会参加のための旅費に使用したりする予定である。
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