2019 Fiscal Year Research-status Report
Urban-Rural Differences in Happiness: A Socioecological Approach
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18K13288
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
浅野 良輔 久留米大学, 文学部, 准教授 (50711909)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 都市-地方 / 社会生態環境 / 幸福感 / 非公式社会的統制 / アメリカ / 日本 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元 (2019) 年度は、平成30 (2018) 年度に得られた知見をさらに発展させるため、アメリカにおいて都市居住が幸福感の低さと関連するのに対して、日本において都市居住が幸福感の高さと関連するメカニズムの説明を試みた。具体的には、非公式社会的統制に関する心理尺度を作成し、アメリカと日本においてその心理測定学的特性を検討した。まず、非公式社会的統制の概念定義に沿って英語と日本語の質問項目を用意した後、アメリカ人と日本人に対する2回の予備調査を経て項目の修正・追加を行った。つぎに、アメリカ人204名(平均41.57±10.83歳)と日本人206名(平均51.29±14.08歳)を対象とするオンライン調査を行った。このデータに対して探索的因子分析および確認的因子分析を行ったところ、アメリカ人と日本人に共通して、非公式社会的統制尺度は1因子から構成されることが実証された。アメリカ人と日本人を通じて、この尺度の因子構造は不変であることも確かめられた。また、本サンプルにおける非公式社会的統制尺度の信頼性は十分に高かった。非公式社会的統制尺度は、先行研究で提唱された子どもの非公式社会的統制 (Sampson et al., 1997, 1999) と中程度に関連しており、本サンプルにおける非公式社会的統制の弁別的妥当性も示された。こうした研究成果について、日本社会心理学会第61回大会における報告を予定していると同時に、査読付き論文の出版に向けた執筆作業も進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アメリカ人と日本人の非公式社会的統制を測定するための尺度を作成し、学会発表ならびに論文執筆の準備を進めることができているため。
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Strategy for Future Research Activity |
アメリカにおける都市居住は幸福感の低さと関連する一方で、日本における都市居住は幸福感の高さと関連する理由として、非公式社会的統制が関与しているかどうかを検証するための調査を行う。 ただし、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが調査結果に影響する可能性があるため、状況を注視しながら実施時期を決定する。場合によっては予定を変更し、今年度は2次データ分析やウェブ実験を行うことも検討している。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、当初予定していた人件費・謝金を所属機関の個人研究費から支出できたことや、校務の都合でアメリカ学会(SPSP@New Orleans)に参加しなかったため外国旅費を支出できなかったことが挙げられる。ここまでの残額については、次年度に行う都市部と非都市部における調査の規模を当初予定よりも大きくした上で、その業務委託費に流用する予定である。
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Research Products
(6 results)