2019 Fiscal Year Research-status Report
オンライン調査・実験の信頼性に関する研究:同一回答者のデータ比較を通して
Project/Area Number |
18K13290
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
林 明明 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 行動医学研究部, 特別研究員 (90726556)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | Big5 / IAT / paper-and-pencil / 紙面調査 / オンライン調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度ではBig5パーソナリティを測定する紙筆版の潜在連合テスト(Implicit Association Test:IAT)を作成し、紙面調査及びWeb上のオンライン調査を実施した。PC版IATを作成した先行研究Grumm & Collani (2007) 、Steffens & Schulze-König (2006)で使用されたカテゴリ語および刺激語を翻訳し、「イメージのしやすさ」等について予備調査を行うことによって訳語を選択し、藤井・上淵(2010)を参考に紙筆版IATを作成した。妥当性を検討するため、Big5パーソナリティを顕在的に測定する質問紙(Neo Five Factor Inventory :NEO-FFI)との相関を求めた。 調査は大学の心理学講義の授業中に実施した。参加者を2グループへ分け、紙面またはWeb形式のどちらか一方のIATを実施した。1週間後に調査形式を入れ替えて実施した。得られた185名の回答のうち、2週ともIATとNEO-FFIの有効回答が得られたのは35名であった。 NEO-FFIの下位尺度では、2つの調査形式の相関は高かったが(rs =.81- .93, all ps < 001)、IATでは誠実性 (r = .45, p< .01) および神経症傾向 (r = .63, p< .05)のみ有意であった。IAT得点とNEO-FFI得点との相関については、紙面形式では外向性 (r = .37, p< .05) と神経症傾向 (r = .42, p< .05) 、Web形式では誠実性(r = .50, p< .01) と神経症傾向 (r = .34, p< .05)のみ中程度の相関があった。本調査では有効回答数が少なく、また作成されたIATの結果の不安定さが懸念される。今後さらなる調査およびIATの改良が必要と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今後の研究に使用するための尺度作成を試みたが、信頼性や妥当性が予想よりも低く改善が必要と考えられるため、予定されていた調査と実験へ進むことがやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度ではオンライン調査と紙面郵送調査による比較、および実験室内外によるオンライン実験課題の比較を行う予定である。参加者を年齢層・性差を考慮したセミランダム方式により2群に分け、オンライン条件および紙面(実験室内)条件の順番を入れ替え実施する。調査内容は主観的なBig 5を測定する質問紙Ten Item Personality Inventory(TIPJ)やNEO-FFI、さらに作成したBig 5を測定するIATを用いて、これら主観的報告および潜在的態度との関連を検討する。さらに、回答者の普段のインターネット使用行動、インターネットに対する信念、回答時の環境、使用デバイスの違いによって影響がないかどうかを調べる。実験課題では、初年度に日本語版を作成したFillmore et al. (2006) をもとにしたCued Go / No-Go Task、Allen et al. (2013)をもとにしたReflexive Imagery Task、Robertson et al. (1997)をもとにしたSustained Attention to Response Task、Bialystok et al. (2004)をもとにしたVisual Simon Taskを用いる予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は研究に使用する紙筆版IATの作成に時間がかかったため、IATの調査に使用するオンラインツールと印刷のための消耗品を中心に使用し、Webと郵送調査の調査費および実験謝金の使用は次年度へ繰り越しになった。次年度はインターネット会社を利用した調査や、参加者を募集した実験室内外での実験を行う予定である。
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Research Products
(1 results)