2020 Fiscal Year Research-status Report
オンライン調査・実験の信頼性に関する研究:同一回答者のデータ比較を通して
Project/Area Number |
18K13290
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
林 明明 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 行動医学研究部, 科研費研究員 (90726556)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | オンライン実験 / Online Experiment / Web-based experiment / Go-NoGo task / Simon task |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度では、まず研究3の予備実験として、Sustained Attention to Response Task(以下、SART)、Visual Simon Task(以下Simon Task) 、Cued Go/No-Go Taskのオンライン実験を行い、過去に申請者が実験室内で実施した実験データとの比較を行った。また、既に作成し紙筆版5因子性格特性(Big 5)潜在連合テスト(IAT)をもとにオンライン実験用のPC版IATの作成準備を行った。 クラウドソーシングサービスを通して学生30名(男性22名、女性8名、平均年齢28.0歳)がオンライン実験に参加した。実験室内実験の参加者はSARTでは大学生28名(男性19名、女性9名、平均年齢20.0歳)、Simon TaskおよびCued Go / No-Go Taskは大学生27名(男性19名 女性8名 平均年齢19.56歳)であった。SARTではオンライン実験は実験室内実験より反応時間が有意に長く、また、質問紙によって測定したSART中の課題無関連妨害思考が多い傾向にあった。両群で回答者の年齢に有意差があったことから、20-22歳に限定して分析したところ、同様に反応時間に有意差があった。Simon Taskでは呈示位置とキー押し位置の一致試行、不一致試行の反応時間がオンライン実験において有意に長く、またサイモン効果も長い傾向にあった。20-22歳に限定した分析においても、3種類の反応時間はすべて有意差があった。Cued Go / No-Go Taskではオンライン実験は実験室実験に比べて反応時間が有意に長く、またGo試行のエラー率も多い傾向にあったが、20-22歳に限定した分析では反応時間のみが有意に長かった。これらの予備実験から、オンライン実験では反応時間が長くなる可能性があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響から、対面の実験実施が難しく、進捗が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度ではオンライン調査と紙面郵送調査による比較、および実験室内外によるオンライン実験課題の比較を行う予定である。参加者を年齢層・性差を考慮したセミランダム方式により2群に分け、オンライン条件および紙面(実験室内)条件の順番を入れ替え実施する。調査内容は主観的なBig 5を測定する質問紙を複数用いて、オンライン調査と紙面調査による違いがないかを検討する。さらに、時事問題として新型コロナウイルス感染症による影響に関する質問項目を追加する。実験課題では、令和2年度に検討したSustained Attention to Response Task、Visual Simon Task、Cued Go / No-Go Task、およびPC版IATを予備実験を実施した後に用いる予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響により対面での実験実施が難しかったため、実験のための課題について予備実験を実験し、実験謝金およびWebと郵送調査の調査費の使用は次年度へ繰り越しになった。次年度はインターネット会社を利用した調査や、参加者を募集した実験室内外での実験を行う予定である。
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