2019 Fiscal Year Research-status Report
幼児期の感情理解における「わからない」反応の発達:自己感情理解プロセスとの関連
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18K13292
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
近藤 龍彰 富山大学, 学術研究部教育学系, 講師 (50780970)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 幼児期 / 感情理解 / 「わからない」反応 / 自己 / 他者 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、大きく3つの研究を行った。 第一に、成人期(20歳ごろ)を対象に、自己および他者の感情推測における「わからない」反応を質問紙法により検討した。幼児期では十分な数が見られなかった「わからない」反応が、20歳ごろになると一定程度見られるようになること、自己感情よりも他者感情で「わからない」反応が多くなること、自己感情を先に推測させるほうが他者感情を先に推測させるよりも「わからない」反応が多くなること、などの結果が得られた。本研究は、Cognitive Psychology Section & Developmental Psychology Section Joint Conference 2019にて発表し、富山大学人間発達科学部紀要に掲載された。 第二に、幼児期を対象に、「わからない」と言わなくなる発達プロセスとそのメカニズムの検討を行った。具体的には、年齢が上がると、答えられない質問にも「推測する」という認知メカニズムが出現することにより、「わからない」反応が見られなくなるという仮説を検証した。質問方法、子どもの言語報告を検討した結果、仮説を支持する結果が得られた。この研究結果は、第31回日本発達心理学会にて発表し、現在論文を投稿中である。 第三に、成人期(20歳ごろ)を対象に、自己および他者の感情推測における「わからない」反応を実験法により検討した。高次な認知プロセスを働かせるがゆえに「わからない」反応が見られるという仮説を検証するため自己の感情推測と他者の感情推測における反応時間や脳波を測定した。現在データ収集を終え、解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
幼児期の「わからない」反応の傾向性に関する基礎データを収集し、論文化を行えている。また、本研究の主たるテーマである「自己感情理解」との関連性について、成人期を対象にしてではあるが、概ね仮説通りの結果が得られている。また、研究上は予定していなかったものの、成人を対象とした脳波測定という新たな研究アプローチもとることができている。以上のことから、研究で検討すべき課題を、当初の計画と概ね一致しながら解決できていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の進め方としては、(1)2019年度に行った研究の論文化、(2)2020年度に計画している実験研究の実施、の2つを行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
2020年3月に開催予定であった学会が不開催となり、そのための予算執行ができなかった。繰り越した費用は今年度の学会関連の予算として執行する予定である。
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