2018 Fiscal Year Research-status Report
中学生の相談行動における教師の働きかけの影響プロセスの解明
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18K13293
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
後藤 綾文 福井大学, 保健管理センター, 特命講師 (90708447)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 相談意欲 / 相談行動 / 援助要請 / 教師の働きかけ / 学級風土 / 学習行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の目的は、教師に相談することを促すような教師の働きかけ、生徒同士で相談することを促すような教師の働きかけ尺度を作成することであった。先行研究をもとに、質問項目を作成し、教育心理学を専門とする研究者と筆者を含む2名で各項目について概念に照らし合わせて適切であるかどうか検討し,内容的妥当性を確認した。中学生を対象に質問紙調査を行い、本研究の尺度が一定の妥当性と信頼のあるものであることを確認した。そして、生徒の認知レベルでは、この2つの教師の働きかけが学級風土を媒介して、生徒の教師に対する相談意欲と他生徒に対する相談意欲を高めることが示された。教師に相談することを促すような教師の働きかけは、直接的に、生徒の教師に対する相談意欲を高めていた。学級レベルでは、この2つの教師の働きかけが、生徒の教師に対する相談意欲と他生徒に対する相談意欲を高めることが示された。今回、学級風土は学級内で相談を行いやすい学級であるかという視点で測定している。そのため、教師の働きかけ、学級風土ともに、生徒の周囲にある社会的要因であるといえる。日常的な教育指導の中で、生徒が相談しやすい雰囲気や環境をつくることの重要性が示されたと考えられる。 また、学習面においても、教師に相談することを促すような教師の働きかけ、生徒同士で相談することを促すような教師の働きかけ双方が学級風土を媒介し、他生徒に相談(質問)する行動だけでなく、他生徒と共に学び合う行動、他生徒に教える行動も増加することが示された。これは,自分が援助要請を行ってもクラスメイトが受容的,肯定的に受け止めてくれるという認知が,クラスメイトとの教えあいや学び合いという自律的な学習行動を促す可能性を示した点で重要な意味をもつものといえるだろう。 なお、以上の研究は、次年度以降学術論文として投稿予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
質問紙調査を順調に行い、多くの研究成果を得た。当初の研究計画に記載した研究以外の調査も実施しており計画以上に進展しているものの、データ分析が十分といえないため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、今回の知見をもとに、相談を行いやすい学級風土の高い学級・低い学級における、教師に相談することを促すような教師の働きかけ、生徒同士で相談することを促すような教師の働きかけについて比較などを行い、より適切な教師の働きかけについて明らかにしていく。
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Research Products
(3 results)