2018 Fiscal Year Research-status Report
Understanding and improving interactive process between cognition and motivation in collaborative learning
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18K13295
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田中 瑛津子 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 特任助教 (10754947)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 協同学習 / 発話分析 / 理科授業 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、大学生のペア学習中の動機づけと認知の相互作用の詳細な分析(研究1)と、中学生の理科実験授業における効果的な協同学習支援(研究2)を行った。 研究1:大学生ペアの問題解決場面の発話を質的に分析したところ、効果的に動機づけと認知が相互に高まり合うためには、お互いの理解状態を積極的に共有すること、手続きではなく意味理解を重視したやりとりがなされること、が重要であることが示唆された。そこで、ペア学習中の発話を「理解の共有」「意味理解」という観点でコーディングし、量的な分析を行った。結果、協同学習の目標を「問題の解決」ではなく「お互いの理解の深化」に設定した場合、「理解の共有」の発話が有意に増えることが示された。一方で、「意味理解」の発話やテスト成績には有意な差がなく、協同学習の目標に介入するだけでは不十分であることが示唆された。また、問題解決に至ったペアでは「意味理解」の発話が有意に多く、「なぜ」に着目した発話が効果的な協同学習のキーになることが示された。 研究2:研究1の結果を踏まえ、中学生の理科実験の授業において、「なぜ」に着目した発話を促進するための介入を試みた。協同学習中に「なぜ」に注目することの重要性を伝えるとともに、いつ「なぜ」に注目すべきかを明確に伝えた。具体的には、自分と相手の意見を書き分け、違いを見つけた時に「なぜ」を問うたり説明するのだと発話例を示しながら教示した。教示の効果について、今後発話分析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大学生を対象としたペア学習中の発話分析から、効果的な協同学習のための重要な示唆が得られたため、中学生を対象とした実験では、当初予定していたプロセス分析よりも、介入の効果検証に焦点化した実験を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
2年次には、計画通り、授業実践場面での協同学習の取り入れとその課題の分析を行う予定である。ただし、対象については、継続的に協働できる教員がいることを重視するため、中学校ではなく小学校になる可能性がある。
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Causes of Carryover |
3万円程度ですので、誤差の範囲内であると考えます。次年度以降、成果発信のために有効に活用します。
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