2019 Fiscal Year Research-status Report
Understanding and improving interactive process between cognition and motivation in collaborative learning
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18K13295
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田中 瑛津子 名古屋大学, 博士課程教育推進機構, 特任助教 (10754947)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 協同学習 / 理科授業 / 発話分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
大学生のペアによる問題解決場面の発話を分析したこれまでの研究により、「なぜ」に着目した意味理解を志向した発話が、効果的な協同学習の実現にとって重要であることがわかった(この成果は本年の教育心理学会において口頭発表)。そこで昨年度の研究では、中学生の理科授業のグループ学習において、「なぜ」に着目した発話を促す介入を行なった。本年度は、介入の効果を検討するため、グループ学習中の発話について質的な分析を行なった。介入では、自分とそれ以外のメンバーの意見を書き分けてメモをとり、自分と他者との意見に相違がある場合に「なぜ」を問うたり説明したりするのだということを、発話例を示しながら教示した。発話の分析から、介入群ではお互いの意見の細かな違いに注意を払って、なぜそう考えるのかを自ら説明したり、相手に説明を促したりしていることが明らかになった。本研究の成果は、国際学会(EARLI 2019)において発表された。 この結果を踏まえて、相手と意見が異なった時にどのような反応をするかが、協同学習の質に影響を与えるという仮説をたて、来年度に向けて質問紙調査を計画している。 また、本研究では、研究において得られた知見をどう教育実践に生かすかということが大きな課題となっている。そこで、教育心理学会において「研究と教育の橋渡し」をテーマにシンポジウムを企画し、研究知見と実際の教育実践とのギャップを埋めるためのアプローチについてディスカッションを行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、現場の教員と協働し、実際の教育場面において協同学習の取り入れ、その課題を分析する予定であった。しかし、協働予定だった教員の体調不良により共同研究の実施ができなかった。さらに妊娠・出産のため、出張等が難しくなった。
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Strategy for Future Research Activity |
出産、そしてコロナウイルスの影響で、学校現場に訪問して共同研究を行うことがますます難しい状況になっている。そのため、実践場面における介入の効果の検討ではなく、質問紙を中心とした研究計画に変更する。質問紙では、これまでの実験結果を踏まえ、相手の意見と自分の意見が異なった場合に「なぜ意見が異なるのか」を追究する発話をする学習者の方が効果的な協同学習ができ、協同学習中の興味も深まる、という仮説について検討する。
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Causes of Carryover |
妊娠により、研究を中断したため、次年度に使用する。 コロナウイルスによる影響もあり、今後学校現場への訪問、海外出張等は難しいと考えられるため、質問紙調査実施のための費用として使用する。
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