2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of gratitude in young children as an emotional foundation of reciprocal behavior
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18K13300
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 賢輔 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 特任助教 (00761686)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 感謝 / 互恵性 / 幼児 / 社会的認知 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、他者の援助を受けた際の幼児の感情表出および行動と、後の返報行動に様々な要因が及ぼす影響を系統的に調べることで、幼児期における互恵行動の感情的基盤としての感謝の発達の様相を明らかにすることを目的としたものである。本研究は幼児を対象とした対面での実験研究を主たる手法としており、社会情勢の変化により当初計画どおりの実験は困難となっていたが、今年度、対面実験の再開が可能になったため、援助者の援助コストが、援助を受けた際の幼児の感情表出と返報行動および、援助者に対する評価に及ぼす影響について検討するための実験を実施した。 3から6歳の未就学児を対象とした一連の実験の結果、対象児による援助者に対する感謝の表明などの感情表出、返報行動の有無および返報の量、友達になりたいかどうかといった社会的な評価等いずれの指標においても、相対的に高いコストをかけて対象児を援助した援助者と低いコストをかけて援助した援助者の間に差を見出すことはできなかった。自発的な感謝の表明を行う対象児の比率や、援助者に対する返報の量については年齢に伴い増加する傾向が一部みられたが、援助者がかけたコストに対する感受性の無さについては、年齢を問わず一貫していた。 これらの結果と先行研究の結果を合わせると、幼児における互恵行動においては、他者による向社会的行動の意図や受けた利益の大きさなどに対する感受性は早期に発達するものの、送り手がかけたコストへの感受性は児童期以降に発達していくことが示唆された。
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