2019 Fiscal Year Research-status Report
青年期の友人関係における慰め効果:自尊感情の高低・変動性による違いに着目して
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18K13308
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Research Institution | Shizuoka University of Welfare |
Principal Investigator |
小川 翔大 静岡福祉大学, 社会福祉学部, 講師 (90805409)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 自尊感情の変動性 / 友人関係 / 慰め / サポート |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,親密で互恵的な対人関係を築く基盤となる「慰め行動」に着目し,その慰め行動に影響する自尊感情の個人差を解明するものである。2018年度は,知覚された自尊感情の変動性(perceived self-esteem instability; P-SEI)を測定する尺度の日本語版作成,および,自尊感情の高さと友人に慰められた時の感情の関連に対する自尊感情の変動性の調整効果を質問紙調査で検討した。 2019年度は,2018年度の協力者を対象に面接調査を行い,友人の慰めによる心理的変化や友人関係の発達に与える影響を質的に検討した。面接調査では,大学生10名(女性9名,男性1名)に,「友人との関係性」,「慰めをした/された経験」,「慰めをした/された時の意図や感情」,「友人関係の変化を実感したこと」などを尋ねた。さらなるサンプル拡充のため,2020年度も継続して面接調査を実施する予定である。 また,2019年度は,P-SEI尺度の日本語版作成について日本心理学会で発表したあと,「心理学研究」に投稿して採択された。従来,自尊感情の変動性を測定する方法は,数日間の状態自尊感情の標準偏差を指標としていたため,調査実施にかかる協力者への負担や測定途中の脱落が問題となっていた。今回邦訳したP-SEI尺度は一試行で自尊感情の変動性を回答する尺度であり,調査負担の軽減や途中脱落のリスクの軽減から,縦断的な発達研究への応用が期待されている。ほかにも,アメリカの学会(Society for Personality and Social Psychology)でポスター発表を行い,国外の自尊感情研究について情報収集を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2018年度に実施した質問紙調査の協力者116名の中から,ランダムにサンプル抽出をして面接調査の依頼を行ったが,協力者が十分に確保できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
面接調査の依頼をまだ行っていない残りのサンプル全員に依頼を実施し,サンプル数の拡充を行う。併せて,面接データの文字お越しや分析も行っていく。さらに,これまでの研究成果について論文投稿を行う。
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Causes of Carryover |
面接調査の実施が遅れ,文字お越しにかかる人件費が次年度使用額になった。また,投稿予定である英語論文の英文校正にかかる人件費も次年度使用額になった。補助事業期間を1年延長して,それらの費用を使用する予定である。
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Research Products
(2 results)