2019 Fiscal Year Research-status Report
児童期から思春期への移行期における問題行動とそれを抑止する教師の関わりの関連
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18K13311
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
金子 泰之 静岡大学, 教職センター, 講師 (00710641)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 学校内問題行動 / 向学校的行動 / 学校適応 / 生徒指導 / 教師関係 / 児童期 / 思春期 / 発達に応じた教師の関わり |
Outline of Annual Research Achievements |
小学校4年生から中学3年生までの6年間にわたる縦断調査によって,児童期から思春期への学校適応の変化と,児童・生徒の学校適応を促進する教師の関わり方を明らかにすることが目的の調査である。今年度は5回目の調査にあたる。第1回目の調査時に小学校4年生だった学年が,中学2年生になった年度であった。 今年度は,小4,小5,小6の児童期に焦点を当て,児童期における学校適応を促進する教師の関わり方を検討した。その結果,小学校4年生と小学校5年生においては,能動的関わりと学習面の関わりが,学校享受感とクラスの雰囲気に正の影響を及ぼしていることが明らかとなった。小4,小5においては類似した傾向が見られ,教師が休み時間や登下校の時間などに子ども達に声をかけるといった教師による積極的な関与が小4,小5の学校適応を促進することが明らかとなった。一方,小6においては異なる傾向が見られた。小6においては,事後的関わりと学習面の関わりが,学校享受感とクラスの雰囲気に正の影響を及ぼしていた。小6においては,子どもが困っているときや助けを求めてきたときに,教師が事後的に関わることが重要であることが明らかとなった。 この結果は,発達に応じた教師の関わりが重要であることを示唆する。つまり,最高学年である小学校6年生においては,子ども達の主体性を尊重しながら子ども達にまかせ,教師はそれを見守る姿勢の重要性である。ただし,子ども達の主体性にまかせつつ,もし子ども達が問題に直面している場合は,教師は手を差し伸べて助言するといった関わりが重要である。そして,上記のような小6における教師の関わりが,中学校生活につながっていく可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究の縦断調査は,首都圏の公立中学校を対象に,学期末の3月にアンケート調査を実施している。その理由は,本調査においては,小中学生に1年間の学校生活全体を振り返った上でアンケートに回答してほしいからである。昨年度までの4年間にわたる縦断調査においても,毎年,3月に調査を実施してきた。 今年度は5回目の縦断調査であり,中学2年生を対象に調査を実施予定であった。ところが,新型コロナウィルスによる一斉休校の影響で,3月に調査を実施することが難しくなった。研究協力校からは,調査実施の承諾を得ており,学校再開後の4月に実施していただく予定になっていた。ところが4月に再度,休校が延長され,5月1日現在,緊急事態宣言が5月末まで延長される見込みである。学校が再開されない限り,調査実施は難しい状況である。当初予定していた3月の調査が実施できていないことから,遅れていると判断した。学校再開後,調査を実施できれば遅れを取り戻せる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
研究協力を依頼している学校が再開後に,2020年3月に予定していた5回目の縦断調査を実施する。さらに,2021年3月末に,6回目の縦断調査を実施する。第6回目までの調査を実施できれば,小4から中3までの6年間にわたる縦断調査を実施できる見込みである。現状,新型コロナウィルスの状況がいつ落ち着くのか,学校再開がいつになるのか,見通しを持てないのが課題である。すでに第4回目の縦断調査までは実施済みであり,収集したデータがある。分析し終えていない部分について分析し,結果をまとめる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響により,3月に参加予定だった学会や研究会への出張費が残ったためである。研究会は今後,時期をずらし開催予定であるため,その際の出張費として支出する。残額分は,新型コロナウィルスの影響によるものであり,研究遂行上の問題はない。
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