2020 Fiscal Year Research-status Report
児童期から思春期への移行期における問題行動とそれを抑止する教師の関わりの関連
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18K13311
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
金子 泰之 静岡大学, 教職センター, 講師 (00710641)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 学校内問題行動 / 向学校的行動 / 学校適応 / 生徒指導 / 教師関係 / 児童期 / 思春期 / 発達に応じた教師の関わり |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年7月に,公立中学校1校で調査を実施した。中学3年生105名にアンケートを配布した。これによって,小学校4年生から中学校3年生までの縦断調査を行うことができた。新型コロナ感染拡大による一斉休校明けの7月に調査を実施したが,調査実施校では,ネガティブな影響は少なかった。 新型コロナ前の2019年の得点と2020年の得点を比較すると,例えば,友達からのサポート(「友達は元気がないとすぐに気づいて励ましてくれる」といった項目から構成される)は,男子,女子,ともに平均値が上昇傾向にあった。学校享受感(「学校へ行くのが楽しみだ」といった項目から構成される」は,男子はほぼ横ばい,女子は上昇傾向にあった。学習面での関わり(「先生はおもしろく思えるように勉強を教えてくれる」などの項目から構成される)は,男子,女子ともに上昇傾向にあった。事後的関わり(「先生は,私たちが学校ではやってはいけないことをすると,必ず注意する」などの項目から構成される)は,男子は横ばい,女子は上昇傾向であった。能動的関わり(「先生は,私たちが興味や関心を持っている話を聞いてくれる」などの項目から構成される)は,男子は横ばい,女子は上昇傾向であった。上記の指標の変化から,新型コロナ前後で,生徒の学校適応に顕著なネガティブな影響があったとは言えないと考えられた。 3つの教師の関わり(学習面の関わり,事後的関わり,能動的関わり)の得点が低下しておらず,女子においては上昇傾向にあったことから,一斉休校明けのフォローとして,教師が生徒に手厚く関わったことによって,一斉休校明けでも,中学生の学校適応が低下しなかったのだと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全国一斉休校によって実施できなかった時点(2020年3月)があり,一斉休校後の学校の年間行事の調整によって,調査を実施できなかった学校が1校ある。しかし,小4から中3までの縦断調査が実施できたことから,おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に収集した調査データを,小学校の問題行動とそれを抑制する教師の関わり(課題番号26780373,若手研究2014から2017)によって得られた調査データと合わせると,小学校(小4,小5,小6の縦断調査)から中学校(中1,中2,中3の縦断調査)への移行をとらえる縦断調査を実施できたことになる。 第一回目の調査を,小4の時点で実施した小4コホート,第一回目の調査を小5からの時点で実施した小5コホート,第一回目の調査を小6の時点で実施した小6コホート,以上3つのコホートデータを得ることができた。次年度は,3つのコホートごとに,縦断データを整理し,すべての時点を合わせた分析を進める予定である。例えば,小学校から中学校にかけて,学校内問題行動がどう変化するのか,その変化を明らかにする。また,学校内問題行動の変化パターンが抽出されたときに,その変化にどのような変数が影響するのかを小学校から中学校への移行に焦点を当てながら明らかにする。中学校段階で,学校内問題行動が増加する群があった場合,それに小学校段階のどんな変数が影響しているのか,中学校段階における学校適応に影響を与える小学校段階の影響を明らかにする。
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Causes of Carryover |
参加を予定していた学会の出張費への支出がなくなったことで余剰が発生した。しかし,10万円以下である。次年度に,データの整理,追加入力のための謝金等に使用することで,計画通り支出できると考える。
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