2023 Fiscal Year Annual Research Report
Efficacy of remote cognitive-behavioral therapy for obsessive-compulsive disorder in children
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18K13315
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
久能 勝 千葉大学, 子どものこころの発達教育研究センター, 特任助教 (20802573)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 遠隔認知行動療法 / 児童強迫症 / ランダム化比較試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究期間内に29名が、千葉大学医学部附属病院の認知行動療法外来を受診した。そのうち、選択基準に該当した19名を対象に無作為割り付けを行い、10名が試験治療群、9 名が通常治療群に割り付けられた。通常治療群に割り付けられた9名のうち3名が研究参加を辞退したため、解析対象集団(FAS : Full Analysis Set)は試験治療群10名、通常治療群6名とした。 試験治療群、通常治療群のそれぞれについて、治療前後のCY-BOCSは、試験治療群では治療前のCY-BOCS27.8点から治療後が19.6 点に、通常治療群では治療前27.1 点から治療後24.2 点と減少していた。強迫症に対する認知行動療法の治療反応性は、Y-BOCS が25~35%低下することと定義される。本研究での試験治療群ではCY-BOCS にて29.3%の改善率を示し(p=0.004)、児童思春期強迫症への遠隔認知行動療法は治療反応を得られ、有効であったと考えられる。一方で、試験治療群と通常治療群の2 群の差異の有意確率はp=0.11(>0.05)であり、統計的有意差は得られなかった。その背景として通常治療群のうち1 名がCY-BOCS22 点から1点へと大きな改善を示したため、通常治療群の全体平均として通常治療前後のCY-BOCS が低下し、有意差が得られなかったことが考えられた。副次的評価項目では、抑うつ尺度であるDSRS-C、不安尺度であるSCAS は、どちらも試験治療群のみ有意な改善を認めたが、どちらの場合でも、試験治療群と通常治療群の間の有意差は得られなかった。これらの結果から、遠隔認知行動療法によって強迫症状が改善することにより、抑うつ症状や不安症状も一定の改善を認めることが考えられた。
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