2023 Fiscal Year Research-status Report
Clarification of Tics and Sensory Phenomena through behavioral therapy of tics and behavioral experiment
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18K13317
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Research Institution | Shirayuri University |
Principal Investigator |
松田 なつみ 白百合女子大学, 人間総合学部, 講師 (20814685)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | トゥレット症 / チック / 認知行動療法 / 行動実験 / 前駆衝動 / 質問紙研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、①CBITの継続的な実施とRCTに向けた準備、②チックに対する自己対処の内容尺度の解析と研究報告を行った。 ①予備的なCBITオープントライアルを13名に実施した結果、チックの半構造化面接であるYGTSS(Yale Global Tic Severity Scale, Leckman et al., 1989)の得点が以下の通り変化した。運動チックの症状合計得点は介入前17.9 (SD = 5.4)から介入後13.8 (SD=5.7)に下がり、音声チックの症状合計得点は介入前16.3 (SD = 4.0)から介入後12.3 (SD=5.4)に下がっていた。YGTSSの症状合計得点は34.3 (SD = 7.7)から26.1 (SD=9.0)に下がっていた。 ②因子分析の結果、チックに対する自己対処の内容尺度は、整える、環境調整、抑える、感覚を解消する、今ここへの集中の5つの下位尺度が作成された。5つの自己対処の尺度と生活満足度、GHQ-28の得点、対処満足度との関連を検討した結果、感覚を解消する、抑える、環境調整と対処満足度は不の相関を示し、GHQ-28の症状得点と正の相関を示した。一方で、今ここへの集中は対処満足度と正の相関を示した(r = .27)。自記式のチック症状尺度を共変量に入れた偏相関分析を行ったところ、3つの自己対処と対処満足度及びGHQ-28との有意な相関はなくなった一方、今ここへの集中と対処満足度は正の相関を示した(r = .23)。ここから、抑える等の自己対処と対処満足度の不の相関は、チック症状が重症な人ほどその対処を使用しやすいことから生じている見せかけの相関であると考えられる。自己対処の中では、「今ここへの集中」がチック症状の重症度に寄らず、対処満足度に貢献している可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
もう一つの若手研究の課題であり、本研究課題を発展させた本研究との間に高い継続性のある研究課題「チックへの行動療法のRCT及びチックの病態解明」において、大幅な研究の見直しが必要となり、そちらに時間と労力を取られたため、こちらの研究が十分に進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本来今年度までであったが、当初予定していた研究がすべて終わらなかったため、研究期間の延長制度を使い、次年度までの実施とする。 これまで学会発表まで行ったものの、論文化できていないデータが数多くあるので、次年度はそれらのデータの再解析及び論文執筆と投稿を行う。 また、本研究課題で得られた知見を社会に還元するために、チックへの行動療法のオンラインプログラムの予備的なプラットフォームを構築する。
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Causes of Carryover |
今年度は新規の若手研究の方の課題において大幅な研究計画の見直しが求められたため、本課題の方の論文執筆が十分に進まず、支出を予定していた論文校閲費や論文掲載費に支出することがなく、当初の想定と比べて出費が少なかった。次年度は再解析や論文化の作業を進めていきたい。さらに、本研究課題で得られた知見を社会に還元し、本研究課題の検討のためのデータを収集するために、チックへの行動療法のオンラインプログラムの予備的なプラットフォームを構築する予定であり、その費用として使用したい。
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