2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K13322
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
曽山 いづみ 奈良女子大学, 生活環境科学系, 助教 (20794316)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 離婚 / 援助ニーズ / 子ども / 同居親 / 別居親 / 支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、①離婚を経験する親に対する支援の実態と援助ニーズの検討、②離婚を経験する子に対する支援の実態と援助ニーズの検討、を並行して実施する計画であった。 ①離婚を経験する親に対する支援の実態と援助ニーズの検討、において、現在は学会活動や当事者団体とのつながりを通した調査協力者の確保と、質問紙調査における質問項目の選定を行っている。調査協力者の確保として、本研究では特に子どもと同居している親の協力を得る(接点をつくる)ことが難しい状況にある。予備的な調査として、同居親の支援をしている専門家との意見交換や心理臨床における実践を通して、同居親のニーズ把握を行っている。また、離婚関連の書籍から、一般的な離婚時における困り事や心配事の抽出を行っている。 ②離婚を経験する子に対する支援の実態と援助ニーズの検討、としては、現在までに、親の離婚を経験した18歳以上の子ども10名へのインタビュー調査を実施した。親の離婚時の子どもの年齢、同居親が離婚をどのように子どもに説明しているか(いないか)、別居親との交流の有無、によって、子どもが離婚をどのように受け止めるかに差があることが見出されている。また、程度の差はあれ、子どもは周囲の人(特に友達など)に離婚経験をどのように話すかについての迷いを持っており、誰になら話せそうか、厳密に見極めていることが明らかになった。彼らは必ずしも専門家の支援を必要とはしていないが、離婚について家族内で話しにくい状況にある場合には家族以外で自分の状況を冷静にわかってくれる人を、離婚について家族内で話せる状況にある場合には家族メンバーからの理解を、それぞれ求めていることが示唆された。インタビューの場を「離婚経験を語れる貴重な機会」ととらえる協力者も多く、離婚について自由に語れる場も求められていると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では①離婚を経験する親に対する支援の実態と援助ニーズの検討、から行う予定であったが、調査協力者の確保や質問項目選定に時間がかかり、②離婚を経験する子に対する支援の実態と援助ニーズの検討、から調査を実施することとなった。②離婚を経験する子に対する支援の実態と援助ニーズの検討、については、現在10名のインタビュー調査を実施するなど順調に進展しているが、調査協力者が女性に偏っているため、来年度以降も継続した調査が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
①離婚を経験する親に対する支援の実態と援助ニーズの検討、については、現在は予備的な調査や離婚関連の書籍を通して質問項目の洗い出しを行っているところである。今後は海外の既存の離婚尺度(離婚後の行動や感情にまつわるものなど)や、援助要請尺度の選定を行い、質問紙を作成する。質問紙調査は、一人親支援団体や面会交流支援団体などの支援機関、インターネット調査会社や知人を通して実施する予定である。 ②離婚を経験する子に対する支援の実態と援助ニーズの検討、については、引き続き18歳以上で親の離婚を経験した子どもを対象としたインタビュー調査を行っていく。現在は女性の協力者、乳幼児期~小学生期までに親の離婚を経験した協力者が多いため、男性の協力者や中高生時期に親の離婚を経験した協力者、を中心に研究協力の依頼を行っていく予定である。得られた結果を類型としてまとめ、どのような場合にどのような支援が求められるか、検討する予定である。
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Causes of Carryover |
①離婚を経験する親に対する支援の実態と援助ニーズの検討、において、本年度中に質問紙調査の作成、実施を行う予定であったが、調査協力者の確保と質問項目の選定に時間がかかり、質問紙調査の実施が行えなかったため、当初予定していた人件費(調査協力謝礼、インターネット調査会社へのモニター料、データ整理のためのアルバイト人件費含む)は来年度以降に使用することとなった。 物品費として、書籍購入費用や消耗品費用を多く計上していたが、別予算でも書籍購入や消耗品購入を行ったため、今年度予算は来年度以降に繰り越して使用することとなった。来年度以降、質問紙調査を実施するための調査協力依頼や質問紙作成において、物品(トナーや紙などの消耗品含む)購入が多く必要になる予定である。
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Research Products
(5 results)