2020 Fiscal Year Research-status Report
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18K13322
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
曽山 いづみ 奈良女子大学, 生活環境科学系, 助教 (20794316)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 離婚 / 子ども / 親 / 支援 / ニーズ |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、①離婚を経験する親に対する支援の実態と援助ニーズの検討、②離婚を経験する子に対する支援の実態と援助ニーズの検討、を並行して実施する計画であった。 ①離婚を経験する親に対する支援の実態と援助ニーズの検討について、2020年度は、インターネット調査会社を通して得た300人の協力者(未成年の子どもがいて離婚を経験したことのある男女)を対象に、離婚前~離婚時・離婚後それぞれの時期に受けた支援、ほしかった支援、について尋ねる質問紙調査を行った。上記質問項目と合わせて、その人が困ったときにどの程度周囲に助けを求めるか測る尺度(援助要請スタイル尺度(永井,2013))と、その人が離婚後の生活にどの程度適応しているか測る尺度(FDAS-JS尺度“The Fisher Divorce Adjustment Scale” (abbreviated)(Jikihara & Ando,2020))についても回答を求め、離婚時の一般的な支援ニーズと、援助要請スタイル、離婚後の生活の適応度合いとの関連を検討した。詳細は現在分析中だが、ほしかった支援としてカウンセリングなどの心理支援を挙げる人も一定数いることが示された。 ②離婚を経験する子に対する支援の実態と援助ニーズの検討については、コロナ禍で新たな研究協力者を募ることが難しい状況だったため、2018年度に実施したインタビュー協力者に再度インタビュー調査を依頼し、分析について意見をもらう、前回調査以降の出来事について自由に語ってもらう機会を得た。親の離婚やそれにまつわる家族関係で悩み、翻弄された経験のある協力者にとって、自らの体験が可視化され時系列として示されることは、自らの人生を振り返り整理する貴重な機会になっていることが複数の協力者から語られた。インタビューを複数回行うことで、より子どもの立場に沿った分析が可能になることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の影響により、調査方法を再検討する必要が生じ、当初計画よりやや遅れた進捗状況となっている。当初は感染状況が落ち着いてからインタビュー調査などを進める予定でいたが、途中からオンライン調査を中心に進める予定に変更した。質問紙調査も、当初計画では紙媒体で実施する予定であったが、インターネット調査会社を通したオンライン実施に変更した。また、質問項目の選定についても、コロナ禍における影響をどのように組み込むかべきか、検討に時間を要した。 ①離婚を経験する親に対する支援の実態と援助ニーズの検討については、質問紙調査とインタビュー調査両方を通して検討する計画であり、2020年度は質問紙調査を終えたところである。インタビュー調査については、協力依頼を行っている最中である。 ②離婚を経験する子に対する支援の実態と援助ニーズの検討については、上述の通り、新たな協力者を募ることが難しかったため、一度インタビューを行った協力者に対して再度のインタビュー調査を行った。インタビューを複数回行い、分析結果に対するコメントをもらうことで、研究者の主観に偏りすぎない、当事者の立場に沿った分析ができたことが成果である。協力者にとっても、自らの経験・語りがわかりやすく分析図として示され、それについて自由に意見を言えることで、「親の離婚」という出来事への整理、意味づけが進むことが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、2020年度に実施した親対象の質問紙調査の分析、発表を行う予定である。親対象のインタビュー調査については、当初は支援につながる人、つながらない人双方にインタビュー調査を行う計画を立てていたが、コロナ禍の状況において支援につながっていない人にアクセスすることが困難になると予想される。そのため、支援につながった人を中心にインタビュー調査を行い、支援の良さと課題、支援を受けることで変化したこと(あれば)、変化につながる背景や要因などについて検討していく予定である。インタビュー調査は、必要に応じてzoomなどの使用を予定している。 子ども対象の調査としては、改めて新しい協力者募集を行っている最中である。こちらの調査も必要に応じてzoomなどを使用することで、より幅広い協力者を得ることを目指す。 2021年度前半をめどに上記調査を実施し、後半はその分析を行い、研究成果をわかりやすいパンフレットなどのかたちにまとめていく予定である。特に、子どもの経験を大人に伝えられるような形のパンフレット作成を行う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により出張が不可能となり、旅費、人件費・謝金の支払いが大幅に減少した。状況見極めと研究計画変更に時間を要し、必要物品の購入にも遅れが生じている。 今後は調査・学会・意見交流などがオンライン主流になっていくことが予想される。調査も主にオンラインで行うこととして、2020・21年度分の旅費、人件費・謝金として計上していた予算の一部をオンライン調査用の物品購入や、インターネット調査会社への外注、研究成果公表用のパンフレットの印刷代・郵送代などに充てる予定である。予算に応じて、離婚を経験した親子への支援につながりうる文献を新たに翻訳することも検討している。
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Research Products
(1 results)