2019 Fiscal Year Research-status Report
反応スタイルとメタ受容が抑うつに及ぼす影響に関する統合モデル構築
Project/Area Number |
18K13328
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
島津 直実 帝京平成大学, 健康メディカル学部, 講師 (30549225)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 抑うつ / 反応スタイル / メタ受容 / 認知行動療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
BeckやTeasdaleの認知理論とNolen-Hoeksemaの反応スタイル理論は抑うつが発生し持続する一連のプロセスを部分的に表現していると考えられる。統合モデルの構築を試みた先行研究はあるが,反応スタイルを2因子のみで捉えている,媒介変数を想定していない,1時点データのため因果関係に言及できないなどの問題点を指摘できる。また,反応スタイルと抑うつの間には第3の変数を想定する事ができ,従来2因子で捉えられてきた反応スタイルは4因子で捉えられる事も指摘されている。そこで本研究は,統合モデルの構築を試み,4つの反応スタイルと媒介変数としてメタ受容が抑うつのプロセスに与える影響を明らかにし,将来の抑うつを予測する反応スタイルを特定する事を目的としている。 2019年度は,大学生を対象とした4週間の間隔をおいた2回の調査を追加で行い,データ入力を行った。また,日本教育心理学会第61回総会にて研究成果の経過発表を行った(島津直実・中村玲子・越川房子(2019)反応スタイルと抑うつの2時点研究)。具体的な内容としては,2回の調査に回答した大学生73名分のデータを用いて,探索的に反応スタイルとメタ受容と抑うつの関係を検討したところ,否定的考え込み反応を多くする人ほど,4週間後の抑うつが高い事が示された。また,否定的考え込み反応をとる自分を受け入れられる人ほど,4週間後の抑うつが低い事が示された。以上の結果は,考え込み反応が抑うつを重症化させるという反応スタイル理論を支持するものであった。また,反応スタイルと抑うつの関係を研究する際にメタ受容という変数も組み込む事が大事である可能性を示唆する結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初,計画した内容を進めており,4週間の間隔をおいた2時点の調査を同一の協力者に実施した。ドロップアウトも相当数想定していたものの,初年度と併せ2019年度前半まででは目標協力者数を満たす事ができず,2019年後半でも追加実施しデータを集積したため,分析着手に時間がかかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度後半に実施した調査を含めたデータを基に,反応スタイルとメタ受容が現在・将来の抑うつに及ぼす諸影響についての因果モデルの構築を試み,全体的・部分的妥当性を検討する。その後,分析結果に対して考察を加え,研究の総括を行う。
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Causes of Carryover |
当初の予定では,2019年度はデータを全て揃えて分析を進める事になっていたが,目標協力者数を満たす事ができなかった。そのため,2019年度も引き続き調査を実施し,データを集積し,データの入力作業を進めた。そのため,当初予定していた2019年度の使用計画を2020年度にまわしたため,次年度使用額が生じた。 2020年度は,詳細な研究計画や研究成果をまとめるために,最新の文献・資料が必要となる。そのために,最新の学術情報へアクセスするのに必要な研究機関で契約されていないPsycINFO,PsycARTICLES等データベース利用料(個人契約)が必要になる。また,国内外の学会参加にかかる旅費を計上し,報告書作成にかかる製本代が必要になる。
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