2019 Fiscal Year Research-status Report
一般小中学生における性別違和感の安定性と心理社会的不適応との関連
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18K13334
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Research Institution | Nagoya University of Arts and Sciences |
Principal Investigator |
浜田 恵 名古屋学芸大学, ヒューマンケア学部, 講師 (00735079)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 性別違和感 / 小中学生 / 心理社会的不適応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、児童期・思春期の性別違和感をもつ者について、一般的に性別違和感はどの程度、安定したものなのか、あるいは変動をするのか、また、メンタルヘルスや心理社会的不適応とはどのような因果関係なのかということを明らかにするための研究である。2年目である2019年度は、昨年度の引き続き、同じ調査対象者(小学校4年生から中学校3年生約5000名)に継続した質問紙調査を行うことができた。性別違和感を測定するための項目に加え、メンタルヘルスに関しては、抑うつ・攻撃性、対人関係困難については友人関係・家族関係・教師関係、いじめ被害・加害について、調査項目を設定した。これにより、性別違和感によってメンタルヘルスが悪化するという単純な直線的な関連でなく、性別違和感があることによる周囲との関係不和などから、メンタルヘルス にどのように影響するかという因果関係を描くことができる。また、性別違和感の安定性を捉えるためには継続的な調査が必須であり、そのために、同じ地域、同じ対象者に調査を実施できたことは大きな収穫であった。安定性や因果関係を検討するために、次年度も同じ項目を用いて調査を予定している。さらに、これまで収集したデータのうち、尺度の妥当性を確認するため、性別違和感があり通院する者(約60名)に対して実施した性別違和感尺度の調査と、一般群におけるデータとの比較について論文を執筆し、投稿中である。これにより、カットオフポイントを設定することができるため、支援を要する群と、その前段階にいる群を知ることができ、支援の対象や内容を検討する上で役立つと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、調査を実施できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、縦断データを収集することができるよう、協力校と連絡を取りつつ進めていく。マイノリティに位置づけられる人は差別や偏見にあいやすくストレスを抱えやすいという、マイノリティストレスモデルが日本でもあてはまるかどうか検証できるよう、対人ストレスやいじめ被害・加害についても引き続きデータを収集する。
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Causes of Carryover |
研究発表に必要な縦断データが揃っていないために、学会発表が少なかったことと、調査に係る消耗品費を予定よりも使用せずに調査が行えたため。収集できたデータをもとに学会発表および論文投稿費として使用する計画である。
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