2019 Fiscal Year Research-status Report
well-being向上を目的とした行動活性化プログラムの開発
Project/Area Number |
18K13335
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
首藤 祐介 広島国際大学, 心理学部, 講師 (50750478)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 行動活性化 / 価値 / well-being |
Outline of Annual Research Achievements |
近年うつ病の心理療法である行動活性化療法が健常者のwell-being向上に役立つ可能性が指摘されているが、個人にとって望ましい活動を活性化させる際には個人の持つ価値(value)が重要となる。この価値を明確化するエクササイズやメタファーは国内外において無数に紹介されているが,本邦において価値の明確化を促進可能であることを十分に検証した手続きは限られている。また、価値に対する障害がwell-being低下のプロセスにおいて重要な役割を果たすことが前年度の研究によって明らかになっている。したがって、well-being向上のためには価値に対する障害を取り除き価値に沿った生活を促進する手続きが不可欠と考えられる。 そこで,本年度は行動活性化プログラムの核となる要素の効果を確認するため,臨床現場で実際に使用されている価値明確化のエクササイズを健常な大学生を対象に集団実施し,その効果を検証した。 参加者を無作為に実験群と統制群に割り当て,実験群には「価値と活動のカード」エクササイズを実施し,その前およびエクササイズ1週間後に標準化された尺度を実施した。統制群はエクササイズを行わず前後の心理検査のみを実施した。エクササイズの結果,価値に対する障害の改善が認められたが,well-beingや抑うつの変化は認められなかった。よって,このエクササイズは価値の変容をもたらすが,単体ではwell-beingの改善は認められず,活動スケジュール等の他のコンポーネントの組み合わせが健常者に対するwell-being向上を目的とした行動活性化には重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は前年度の調査に基づき行動活性化プログラム作成を行うとともに,プログラムの中核となる価値のワークについて,健康な大学生を対象に集団形式でその効果を検証した。作成したプログラムを元に個人への効果を2~3月に検証する予定であったが,新型コロナウイルス感染症の影響を考慮し,この検証を延期している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に得られた知見を元に行動活性化プログラムのブラッシュアップを行い,介入群に個別実施し,統制群と比較することで効果を確認する。また,本年度及び来年度得られた成果については学会発表を通して公表していく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染阻止のため予定していた実験を延期としたため。当初の予定通り、主には実験参加の謝礼として次年度使用する計画である。
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