2022 Fiscal Year Research-status Report
統一プロトコルによる集団認知行動療法の有効性に関するランダム化比較試験
Project/Area Number |
18K13337
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
加藤 典子 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 認知行動療法センター, 特別研究員 (90741421)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 認知行動療法 / 集団療法 / 統一プロトコル / 不安症 / うつ病 / 診断横断的認知行動療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「不安とうつに対する統一プロトコルによる集団認知行動療法の実施可能性と有効性の検討(若手研究B: 15K17319)」を発展させ、ランダム化比較試験によって統一プロトコル集団版の有効性の検証を行うことを目的とする。 2018年度と2019年度には、2017年11 月に米国で出版された統一プロトコルの患者用ワークブックおよびセラピストガイドの第2版に合わせて、予備試験で作成したマニュアルおよびマテリアルの改訂作業を行なった。また、2019年には、9th World Congressof Behavioural & Cognitive Therapiesで、予備試験の成果公表と米国・デンマークで実施された先行研究についての情報収集を行った。2019年度後半から2020年度前半は、研究代表者の産前産後休暇と育児休業の取得に伴い研究を中断した。 2020年度は、covid-19の感染拡大により集団療法の実施が困難になったため、オンラインでの集団療法を安全に実施する上での課題や対応を明確にすることを目的に、文献や資料を収集してオンラインでの実施における安全対策について整理した。2021年度は、オンラインによる集団療法実施における個人情報漏洩のリスクの懸念、covid-19の感染防止対策の緩和を考慮して、対面介入による臨床試験の準備を再開した。 2022年度は、統一プロトコルの患者用ワークブックおよびセラピストガイドの第2版の翻訳書の出版に向けて監修・監訳作業を進めた。また、ボストン大学のFarchione博士とコペンハーゲン大学のArnfred博士から統一プロトコルによる認知行動療法の実施時のcovid-19の感染防止対策について情報提供を受けた。さらに、統一プロトコルの集団療法に関する先行研究のレビューを開始して、第22回日本認知療法・認知行動療法学会にてその成果を公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度から2020年度の前半は、研究代表者の育児休業取得に伴い研究を中断した。2020年度は、covid-19の感染拡大により集団での認知行動療法の実施が困難であったため、臨床試験の開始を延期した。2021年度には、covid-19の感染防止対策と集団認知行動療法の有効性の検証を両立させるため、オンラインでの集団認知行動療法の臨床試験を開始することを検討した。しかし、オンライン介入の安全性について情報を収集する中で発覚したオンライン集団療法の実施による個人情報漏洩のリスクに対して、有効な対策を立てることが困難であったため、研究参加者の安全性を考慮してオンライン介入の臨床試験を中止した。これらの理由により、当初の計画より進捗が遅れてきた。そのため、2022年度より、本研究課題では対面介入による臨床試験に向けたマニュアルとマテリアルのさらなる整備と、先行研究に関するレビュー及びレビュー論文の執筆を中心に取り組んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、2022年度に開始した統一プロトコルの先行研究のレビューをまとめて、レビュー論文の出版を目指す。また、2023年度内に出版が予定されている統一プロトコルの患者用ワークブックおよびセラピストガイドの第2版の翻訳書の監修・監訳作業を進めて、2024年度に開始予定の集団版統一プロトコルの有効性を検証するランダム化比較試験(特別研究員奨励費: 23KJ2198)で活用できるように整備する。
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Causes of Carryover |
2022年度は、統一プロトコルによる集団認知行動療法におけるcovid-19の感染防止対策についての情報収集を行ったが、ボストン大学のFarchione博士とコペンハーゲン大学のArnfred博士が国内の学会に講師として招聘されていたため、当初想定していた国際学会の参加費及び旅費の支出が不要となった。また、介入の実施を予定している国立精神・神経医療研究センター病院のcovid-19の感染防止対策を考慮して、2022年度の集団療法の臨床試験の開始を見送り、先行研究のレビューとその成果公表を行ったため、人件費の支出が抑えられて、次年度使用額が生じた。 2023年度は、2022年度に開始した先行研究のまとめをレビュー論文として成果公表をする予定で、レビューの補助を行う担当者の人件費と、論文投稿の際の英文校正の費用、論文掲載料を支出予定である。
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