2018 Fiscal Year Research-status Report
日本的心性に即したインターネット版認知行動療法ストレス対処プログラムの開発と評価
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18K13342
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菅沼 慎一郎 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 特任助教 (60756451)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 認知行動療法 / インターネット / 日本文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はまず、申請者がこれまで実施してきた日本文化に特徴的な心のあり方についての調査研究と職場におけるインターネット版認知行動療法ストレス対処プログラムに関する実践研究のそれぞれについて、これまでに得られた知見を見直すと共に、関連する先行研究のレビューを改めて行った。次に、次年度以降の介入研究の前段階として、日本的心性に即した適切な効果指標としての評価尺度を考案した。併せて、次年度に予定していた職場におけるインターネット版認知行動療法ストレス対処プログラム改修の一部として、改修案の作成を行った。その他、これまで実施してきた精神的健康に対する適応的諦観の機能に関する調査研究やスマートフォンを用いたインターネット版ストレス対処プログラムの効果研究に関する成果発表も実施している。 メンタルヘルス領域においてはこれまで、諸学国で開発された技法やプログラムを導入する研究が多く、日本的な心の在り方を考慮した臨床心理実践については十分に検討されてこなかった。また、情報通信技術を活用した臨床実践についても活用事例が少なく、対面でのカウンセリングが主流となっているのが現状である。近年発展の著しい情報通信技術を活用することでこれまでのメンタルヘルス利用に関するコストの削減や臨床実践へのアクセシビリティの増加が期待される。そのため、本研究で実施している日本文化論的な観点からの人間心理の理解とインターネットを用いた介入プログラムの検討は、現代の社会文化に即した効果的な臨床実践に寄与すると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、今年度日本的心性に即した適切な効果指標としての評価尺度の開発のみを実施し、次年度に職場におけるインターネット版認知行動療法ストレス対処プログラムの改修と構築、効果研究を実施する予定であったが、予定より研究が早く進展した。そのため、次年度に予定していた職場におけるインターネット版認知行動療法ストレス対処プログラムの改修の一部として、改修案の作成と実装準備を本年度進めることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は、今年度考案した改修案に基づき、職場におけるインターネット版認知行動療法ストレス対処プログラムの改修と構築、効果研究を実施する。平成32年度は、それらの結果を基に改修を実施し、インターネット上での効果研究を再度行うことでプログラムの介入効果を精査し、国内外における他の研究と比較することで有用性について検討する。平成33年度は、研究成果に基づき、日本社会の現実に即した認知行動療法の評価尺度とインターネット版認知行動療法を活用したストレス対処プログラムを提案する。 課題としては、フィールドの確保がある。当初予定していたフィールドでの実施が難しくなったため、新たなフィールドの検討を行っている。
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Causes of Carryover |
本年度は研究実施計画に基づき、職場におけるインターネット版認知行動療法ストレス対処プログラムの効果指標としての日本的心性に即した評価尺度の開発を行ってきた。予定より研究が早く進展したため次年度に予定していた職場におけるインターネット版認知行動療法ストレス対処プログラムの改修の一部として、改修案の作成と実装準備を計画している。そのための物品・書籍購入や研究会への参加、実装に向けての打ち合わせ、成果発表準備等のため、前倒し支払い請求に至った。
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Research Products
(4 results)