2018 Fiscal Year Research-status Report
Association between maternal depression and child alexithymia
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18K13343
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
崔 多美 浜松医科大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任助教 (50791836)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アレキシサイミア / 産後うつ / 子ども / 問題行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
アレキシサイミア(Alexithymia)とは、自分の感情を識別し表現する能力の損傷であり、様々な精神疾患(うつ病など)及び身体疾患(慢性的腰痛)と関連している。アレキシサイミアの要因としては、幼少時の不安定な養育環境が知られているが、母の養育態度と関係が深い産後うつが児のアレキシサイミアと関連するかどうかは明らかではない。そこで、本研究では出生コホート研究の参加者を対象として、母の産後うつと児のアレキシサイミア傾向の関連を調べることを目的としていた。 当初の計画では、コホートの全体参加者(約1100人)から産後うつがあった母(約100人)と産後うつがなかった母(約100人)を改めて呼び、児のアレキシサイミア傾向を質問紙及び生理指標で測定する予定であった。しかし、コホート研究のスケジュールの調整により、コホートの参加者の一部のみ測定を行うことは現実的に難しいことが分かった。そのため、測定計画であった子どものアレキシサイミア傾向の代わり、既にコホートで測定中である子どもの問題行動(behavioral problem)を子どもの精神健康の指標として使うことにした。子どもの問題行動には外在化問題と内在化問題があり、両方子どもの低い言語能力と関連するということから、アレキシサイミアと同様に子どもの精神健康を反映すると考えられる。 研究計画の一部の変更により、研究1年目には、母の産後うつが児の問題行動に及ぼす影響を調べた。その結果の一部として、母の産後うつは児の特定遺伝子多型と交互作用しながら、児の外在化問題に影響を及ぼすことが確認された。このことから、母の産後うつは母と児のポジティブなコミュニケーションを低下させ、児の精神健康を低下させることが示唆される。この結果は国内学会で発表され、現在英文ジャーナルに投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で上述したように、研究1年目には、アレキシサイミア傾向を関連することが分かっている外在化問題において、母の産後うつが影響を及ぼすことを確認し、その成果を発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
子どもの低レベルの言語能力は問題行動と関連することが分かっているが、受容言語(receptive language)と表出言語(expressive language)の中でどの能力の発達が子どもの問題行動と関連するかは未だ分かっていない。そこで、研究2年目には、幼児期の受容言語と表出言語の発達が子どもの問題行動をどのように予測するかを調べる予定である。
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Causes of Carryover |
研究成果のまとめが多少遅れ、計画した海外学会での成果発表ができなかったため、旅費において残額が生じた。また、同様の理由で論文投稿が遅れ、論文掲載料の支出がなかった。この金額は、今年海外出張と論文掲載で支出する予定である。
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