2018 Fiscal Year Research-status Report
Resting-State Brain Connectivity and Intervention for ASD: Consideration for a Better Outcome
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18K13352
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
土屋垣内 晶 千葉大学, 子どものこころの発達教育研究センター, 特任助教 (30778452)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | EEG / fMRI / ニューロフィードバック / DMN / 脳機能結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、科学技術の向上により、認知・行動・感情に加えて、脳活動もセルフ・モニタリングすることが可能になってきた。自身の脳活動をリアルタイムにモニタリングしながらコントロールするニューロフィードバック (Neurofeedback: NF) は、望ましい脳機能活動をフィードバックすることで、覚醒やリラクセーションといった心身相関を脳が自然と学習する手法である。NFは、症状・感情のモニタリングや自己報告が難しい神経発達症の大人や子どもにも適応可能である。しかし、NFは欧米を中心として臨床上の有効性が経験的に示されているものの、研究としてのエビデンスは少ない。うつ病や不安障害といった精神疾患や自閉スペクトラム症 (Autism Spectrum Disorder: ASD) に代表されるような神経発達症においては、何もしていない状態での脳機能結合 (Default Mode Network: DMN) の活動が、健常者のものとは異なることが指摘されてきた。本研究の目的は、安静時におけるDMN領域の脳機能結合の差異を明らかにし、新たなNF手法の開発を行うことである。 H30年度は、よりデータの得られやすいうつ病と不安障害 (Mood and Anxiety Disorder: MAD) を対象に、安静時脳波 (EEG) と安静時fMRIの比較解析を行った。その結果、健常者のEEGにおいては安静状態であってもいくつかのパターンを遷移し続けているのに対し、MADのEEGにおいては特定の回路が賦活されそのほかの回路への遷移が起こりにくいことが明らかになった。また、安静時fMRIの解析により、MADでは安静時DMNの活動が高く、ネガティブな思考とDMNのノードとの相関が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、EEGおよびfMRIの測定および解析技術の習得に専念した。EEGおよびfMRIの解析により、MADにおけるNFのターゲットとなり得る脳領域が特定された。これらの領域は、DMNを構成する領域であり、先行研究の知見とも一致する。サンプル数の問題があり、今年度はMADの解析を中心に行ったが、ASDのリクルートも同時に進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初、EEGを用いたNF手法を開発する計画であったが、今年度の研究により特定された脳領域が深部であったため、より空間解像度に優れたfMRIを用いたNF手法を開発する予定である。モダリティの変更はあるものの、従来の計画通り、fMRIと同時にEEGを測定することにより、fMRIによるNFで得られた知見をEEGによるNF手法の開発へと還元させることが期待できる。将来的にはより簡便なEEGを用いたNF手法の開発へと発展させていく計画で研究を進めている。 平成31年度は、特定された脳領域をターゲットとしたNF手法の開発を行うとともに、習得した解析技術を用いてASDのデータ解析も進めていく。
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Causes of Carryover |
当初の予定では、平成30年度に安静時EEG計測器およびNF用ソフトフェアを購入する予定であったが、平成30年度の研究結果に基づいて、まずはfMRIによるNF手法を開発することになった。EEG関連の測定は当面既存の設備を用い、平成31年度の研究の進展をみて最適な機器を購入する予定である。
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