2019 Fiscal Year Research-status Report
不眠障害の生理‐心理‐発達的観点からの病態の解明と心理療法の反応性に関する研究
Project/Area Number |
18K13355
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
中島 俊 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 認知行動療法センター, 室長 (10617971)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 睡眠 / 行動医学 / 就学前幼児 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、不眠障害の病態を生理‐心理‐発達的側面から検討するために以下の4つの観察研究を実施した。 1つ目の研究は、大学生を対象とした早期適応的スキーマと不眠の重症度に関する研究である。本研究は初年度でデータの収集を終え、本年度第9回世界認知行動療法会議(2019年7月17-20日)にてその成果についてのポスター発表を実施した。 2つ目は、就学前幼児とその養育者を対象とした質問紙調査である。就学前幼児の45%が何らかの睡眠の問題を抱えていることから、本研究では研究の協力を得た茨城県の保育園・幼稚園に在籍する就学前児童を持つ養育者を対象に質問紙による調査を実施した。本調査の結果、子どもの睡眠の問題は養育者の睡眠を促す行動が関連することが示唆された。本研究の成果を第26回日本行動医学会学術総会にてポスター発表を行った。 3つ目の研究は、不眠症者の不眠重症度を発達的側面から検討することを目的とした20~70代の年齢の者を対象にしたインターネット調査に関する研究である。近年、不眠症状は年齢層によってその重症度と寄与する要因が異なる可能性が指摘されている。本研究では、それらを明らかにするために20~70代の男女800人程度に10歳ごとの年齢層に区分し、年代毎による不眠重症度と関連した要因を検討するためのインターネット調査を実施した。現在、この調査から得られたデータを解析している。 4つ目の研究は、睡眠外来を有する医療機関と協力し、睡眠障害の患者に対する行動医学的介入の有効性を検証するための後ろ向き研究である。本研究では、睡眠外来を受診する概日リズム睡眠・覚醒障害と不眠症患者を対象に一般臨床で行われている認知行動療法に基づく介入が有効であるかを検討するため、カルテ情報から2時点(介入前・介入後)のアウトカムを抽出し、現在解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究者の所属先変更と新型コロナウイルス感染拡大のため、当初予定していた研究計画を一部変更して実施したため、研究計画に遅れが出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度から本年度に実施した4つの研究の論文執筆を進める。具体的な内容は以下の通りである。 【①大学生を対象とした早期適応的スキーマと睡眠に関する調査】学会発表を行ったデータをもとに、現在睡眠をテーマとする国際誌への投稿に向け、論文執筆中である。 【②成人の睡眠の問題に関するインターネット調査】学会発表に向け、現在データ解析中である。 【③就学前幼児とその母親に関する質問紙調査】学会発表を行ったデータをもとに、国内の学術雑誌への投稿に向け、論文執筆中である。 【④睡眠の問題に関する行動医学的介入の後ろ向き調査】学会発表に向け、現在データ解析中である。
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Causes of Carryover |
研究者の所属先変更と新型コロナウイルス感染拡大に伴い、大幅な研究計画の変更を行い、研究の遅れが発生した。そのため、次年度使用額が生じた。
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Research Products
(2 results)