2020 Fiscal Year Research-status Report
認知症高齢者の家族介護者の役割間葛藤及び生活の質の改善要因の解明
Project/Area Number |
18K13357
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
森本 浩志 明治学院大学, 心理学部, 准教授 (20644652)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 認知症 / 家族介護者 / 役割間葛藤 / エンリッチメント / ソーシャル・サポート / 自己効力感 / アクセプタンス / コミットメント |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、これまでに収集したデータについて詳細な分析を行った。具体的には、本研究の目的である、(1)就労家族介護者のメンタルヘルスに関連する要因(介護及び仕事における負担とソーシャル・サポート、介護に対する自己効力感など)のうち、エンリッチメントと関連の強い要因を明らかにすること、(2)アクセプタンスと価値に沿った行動(コミットメント)が、役割間葛藤及びエンリッチメントの改善につながるかを明らかにすること、の2点うち(1)について、6か月間隔で行った3回の調査で得られた縦断データを用いて分析を行った。 その結果、横断データにおいては仕事の裁量権・上司のサポート・組織のサポート(介護に応じた柔軟な働き方を可能にする制度の利用可能性)が高いと、「仕事から家庭へのエンリッチメント」が高いことが示されたが、縦断データにおいては上司のサポートのみが、「仕事から家庭へのエンリッチメント」を高めることが示唆された。一方で、介護に対する私的・公的なサポートの利用回数および満足度は、「家庭から仕事へのエンリッチメント」と関連が見られなかった。また、これまでの研究において、認知症の人の家族介護者の精神的健康に寄与する要因とされてきた介護に対する自己効力感は、「家庭から仕事へのエンリッチメント」と関連しないことが示された。 また、横断データにおいては「仕事から家庭へのエンリッチメント」が高いと、就労家族介護者の精神的健康が良好であることが示されたが、縦断データにおいては「仕事から家庭へのエンリッチメント」および「家庭から仕事へのエンリッチメント」ともに、就労家族介護者の精神的健康とは関連しないことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度に実施予定であった分析の一部を行い、研究成果を発表したが、コロナ禍の影響もあり、本研究の目的の(2)の分析および発表を完了することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、引き続きデータ分析と発表を行う。
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Causes of Carryover |
2020年度に予定していた全ての発表および論文投稿が完了しなかったため。 当該助成金は、2021年度の論文投稿および論文が採択された際のオープンアクセスに係る費用の支出に使用する。
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