2018 Fiscal Year Research-status Report
意思決定における価値計算過程と選択過程を分離して評価する計算論的アプローチ
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18K13366
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
遠山 朝子 名古屋大学, 情報学研究科, 研究員 (10816549)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 計算論モデル / パラメータ推定のバイアス |
Outline of Annual Research Achievements |
意思決定の背後にある学習メカニズムについて計算論モデルで表現するとき,大きく分けて,「価値計算過程」と「選択過程」について考える必要がある。本年度は,計算論モデルの中で,両者のアルゴリズムのそれぞれで,誤ったアルゴリズムを使った場合に生じうるパラメータ推定のバイアスについて検討した。
(1)これまでの研究で,「価値計算過程」で選択していない選択肢の価値の変化を許容するアルゴリズム(:忘却過程)を導入することで,実データへの予測が大きく改善されることが分かっている。そこで,忘却過程の影響を受けている人工的な選択データを生成し,忘却過程を想定しない従来の計算論モデルを用いてパラメータ推定を行って,推定が歪められる可能性を計算機シミュレーションで検討した。その結果,パラメータの推定値がシステマティックに歪められる現象を確認し,そのメカニズムを明らかにした。 (2)「選択過程」では,価値とは無関係に自身が過去に選んだ選択肢を繰り返して選択する傾向を表現するパラメータが組み込まれている。しかし,これまでの計算論モデルの殆どは,1つ前の選択の影響しか考慮していない。しかし,ヒトの選択行動を確認すると,複数前の選択からも影響を受けていることが分かる。そこで,複数前の選択の影響を受けてい人工的な選択データを生成し,1つ前の選択しか考慮しない従来の計算論モデルを用いてパラメータ推定を行って,推定が歪められる可能性を計算機シミュレーションで検討した。その結果,パラメータの推定値がシステマティックに歪められる現象を確認し,そのメカニズムを明らかにした。
これらの結果を英語論文にまとめて,国際誌にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の目的の1つは,価値計算過程と選択過程を評価できる計算論モデルの構築にある。本年度はそのための基礎的な検討を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,本研究課題で当初より予定していたクラウドソーシングを利用したWEB行動実験を実施するため,必要な準備を進めている。準備が整い次第,速やかに実行する予定である。
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Causes of Carryover |
285円の繰越が生じてしまったが,来年度支出予定の物品費として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)