2020 Fiscal Year Research-status Report
異種感覚情報の時間的統合に感覚間協応が果たす役割の解明
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18K13370
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山本 健太郎 九州大学, 人間環境学研究院, 講師 (30727087)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 感覚間協応 / 視聴覚 / 感覚統合 / タイミング / 時間 |
Outline of Annual Research Achievements |
異種感覚情報の時間的統合における感覚特徴の役割を明らかにするという目的のもと,2020年度は主に(1)感覚間協応の種類毎のメカニズムの共通性・差異性の検討と,(2)音声の提示タイミングが言葉の印象形成に及ぼす影響の検討を行った。またこれまでの研究成果の一部を論文としてまとめ,誌上で公表を行った(Yamamoto, 2020; 山本・吉田, 2020)。以下に具体的な検討内容を記述する。 (1)感覚間協応と呼ばれる感覚モダリティを超えた刺激特徴間の結びつきがどのような仕組みによって形成されるのかについて,文献の整理を行った。また視聴覚間における多様な協応の組み合わせに対して,評価や反応の傾向が一貫するものを分類し,種類毎のメカニズムの共通性・差異性を検討する実験を考案し,オンライン上で実施するための準備を行った。現在はクラウドソーシングサービスを利用してデータを取得している段階にあり,データが集まり次第分析が可能な状況にある。 (2)音声の提示タイミングが言葉の印象形成に及ぼす影響について,言葉の理解の難しさとの関係に着目して検討した。似通った音から異なる意味を喚起する短い言葉を用い,言葉が終了するタイミングの前後に笑い声を提示して面白さの評価を行ってもらったところ,言葉の理解の難しさの違いによらず終了直後に音声を提示したときに評価が最も高くなった。この結果から,意味的な処理とは無関係な感覚情報の統合が,印象形成に役割を果たすことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため,予定していた実験室実験が中断となり,オンライン実験に切り替えるための準備が必要となった。また発表を予定していた国内外の学会が中止もしくはオンライン開催となり,成果公表の計画にも変更が出ているため,進捗状況はやや遅れていると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
オンライン実験の環境については実施体制を整えることが出来つつあるため,計画していた内容を一部オンライン実施に切り替えるなど,社会情勢に即した形で研究を推進する。またオンラインで開催される学会や研究会で成果の発表を行い,並行して論文作成を進め学術誌に投稿するなど,成果の公表に努める。
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Causes of Carryover |
(理由)新型コロナウイルス感染症の感染拡大により,実験室実験が実施出来ず実験設備費および実験参加者謝金として計上していた予算に残額が生じた。また参加を予定していた国内外の学会が中止もしくはオンライン開催となり,旅費として計上していた予算にも大幅な残額が生じた。 (使用計画)実験室実験の一部をオンライン実験に移行し,オンライン実験プラットフォームの利用および参加者のリクルートに掛かる費用として使用することを予定している。
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