2018 Fiscal Year Research-status Report
身体行為における随意性と視覚の相互作用に関する認知神経心理学的検討
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18K13372
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
板口 典弘 静岡大学, 情報学部, 助教 (50706637)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 空書 / 視覚運動協調 |
Outline of Annual Research Achievements |
H30年度は,まず,脳損傷患者(中等度感覚性失語患者)を対象とした空書実験をおこない,失読患者における書字運動(空書)が認知機能に与える影響を明らかにした。実験の結果,失読を呈する患者においても,指運動をおこなうことによりその視覚的フィードバックが認知課題遂行を促進することを示した。さらに興味深いことに,患者は,指運動により想起された文字を書くことはできたが読むことはできなかった。この知見は,空書行動は言語の意味的・音韻的な認知を促進するのではなく,視覚的処理のみに影響することを示唆した。本結果は2nd ARWAおよびUniversity of Tromso(Norway)にて発表された。 さらに,健常者を対象としたVisuomotor adaptationを用いて視覚―運動対応関係を新たに短時間で学習させる実験をおこなったところ,学習された対応関係に応じて,自動的・無意識的な身体反応までもが変容することを明らかにした。これは,私たちの視覚―運動の対応関係はその状況に応じてかなり柔軟に変化する性質を持っていることを示唆した。この知見はExperimental Brain Research誌にて発表された(Itaguchi and Fukuzawa 2019)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H30年度は,脳損傷患者を対象とする検討をおこない,それらを学会発表した。また,視覚と運動の相互作用に対する基礎知見を論文誌にて発表した。さらに,高齢者を対象とした論文は投稿中である。そのため,順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は,空書行動において,視覚と運動の対応関係を操作した実験をおこない,それを発表していく。また,前年度に得られた脳損傷患者についての知見の論文投稿をおこなう。
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Causes of Carryover |
論文校閲費用の用途として繰り越した。2019年度には問題なく使用可能である。
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