2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K13373
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
中嶋 豊 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (90513036)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高速情報処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
高速プロジェクタ(最大フレームレート5000 Hz)による情報密度の高い動き(高密運動)を観察すると「ぬるぬる」のような滑らかな運動質感(滑動感:かつどうかん)が知覚されることを見出だした.本研究では,高密運動とそこから生じる質的知覚に着目した. 令和3年度は,心理物理実験では区別可能であった高密運動の見えが主観的にも区別が可能であるかを検討した.具体的には,120 fps相当の運動刺激のDuty比(画像1フレームあたりの提示時間比率:短いほど一瞬のみの提示となる)を100 %,83 %,67 %,50 %,33 %,17 %の6段階で設定し,シェッフェの一対比較により最も滑らかに知覚されるDuty比について検討した.その結果,50 %と17 %の条件にのみ有意な差が認められたが,その他の条件間については有意な差は認められなかった. さらに,高密運動は一般的に「ぬるぬるした動き」と表現されることがあるが,そうした動きを構成する刺激特徴については明確ではなかった.そのため,上記のDuty比を持つ運動刺激と「ぬるぬる」というオノマトペを同一の印象評定尺度を用いて比較し,刺激特徴の同定を試みた.その結果,「ぬるぬる」はいずれのDuty比の運動刺激とも相関が高いことが示されたが,最も相関が高かったのは100%のDuty比を持つ刺激であった. 以上の結果は,120 fpsを超えた範囲において,高密運動の見えの主観的な違いはほぼない可能性を示すものである.ただし,100%のDuty比の刺激は特に相関が高かったことは,運動刺激の時空間的連続性が高いほど,摩擦を伴うようなオノマトペ「ぬるぬる」で表現される可能性を示している.これらの結果については,2022年3月に開催されたヒューマンインフォメーション研究会(HI)にて口頭発表を行なった(内容は『映像情報メディア学会技術報告』にて報告).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度に検討ができなかった質的側面についての検討を進めることができ,一定の成果を得ることができたと言える.ただし,新型コロナウイルス感染症の感染状況の影響により本来の研究期間からは遅れていることから,今後も感染状況を見極めながら対面実験,オンライン実験の両手段での実施を進める.
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症対策を十分におこなった上で,高速プロジェクタを使用した対面実験を実施し,動きの質的側面の検討をさらに進める.特に令和3年度は刺激の時間解像度が一種類のみに限定されたことから,複数の時間条件に対しても検討を進める.ただし,対面による実験が困難となった場合に備え,オンライン実験を並列して計画する.また,他研究者からの助言,アドバイスなどを積極的に取り入れる予定である.
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Causes of Carryover |
主に新型コロナウイルス感染症の影響により,学外への出張が制限されたことが理由である.出張が可能となった場合には,ただちにその用途において使用し, オンライン実験環境の拡充,民生用高速ディスプレイに対する検討なども視野にいれ別の用途での使用も予定している.
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