2020 Fiscal Year Research-status Report
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18K13375
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Research Institution | Teikyo University of Science & Technology |
Principal Investigator |
今野 晃嗣 帝京科学大学, 生命環境学部, 講師 (00723561)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | イヌ / 注視 / 眼 / コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題「注視行動から探るイヌとヒトの交流技能の獲得過程」は、イヌの注視行動を介した対人交流技能の獲得過程について実験心理学的手法により明らかにすることを目的とする。 本年度は、以下の課題に取り組んだ。 まず、「研究A:イヌの対人注視行動と対人交流技能の関連性」については、ヒトの視線接触に対するイヌの感受性を評価する実験を行った。その結果、イヌはヒトの視線の有無により異なる対人コミュニケーション行動を選択することを明らかにした。一方、ヒト側の視線交流に関する認知過程を明らかにするため、イヌの眼(虹彩)の色による印象形成について実験的に明らかにするための研究も継続して行った。その結果、イヌの眼の色の違いによってヒトの抱く感情や印象が異なることを明らかにした。 次に、「研究B:視線接触訓練の経験がイヌの対人交流技能の発達に与える効果」については、昨年度に確立した実験系を用いて、複数のイヌに対して視覚弁別学習トレーニングを行った。その結果、(1)イヌにおける視覚弁別課題の学習成績の個体差、(2)イヌの学習成績に対人交流形式が与える影響、(3)について明らかにした。 これらの知見は、イヌの対人交流技能の基本的な行動特徴を明らかにするとともに、それを実験的に評価するための手法を整備するという意義があると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、おおむね計画どおりのデータ収集ができたが、研究成果を発表する機会が次年度以降に延期されたため、「やや遅れている」と判断した。「研究A:イヌの対人注視行動と対人交流技能の関連性」については、昨年度に開発した実験系に基づき、イヌの行動データを収集することができた。同じく、「研究B:視線接触訓練の経験がイヌの対人交流技能の発達に与える効果」についても、訓練経験がイヌの学習成績に与える影響についてのデータを収集することができた。これらの研究結果に基づいて、次年度以降は学会や論文誌上において研究成果の公表を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題「注視行動から探るイヌとヒトの交流技能の獲得過程」は、イヌの注視行動を介した対人交流技能の獲得過程について実験心理学的手法により明らかにすることを目的とする。 これまでの3年間において、「研究A:イヌの対人注視行動と対人交流技能の関連性」および「研究B:視線接触訓練の経験がイヌの対人交流技能の発達に与える効果」ともに、おおむね計画どおりにイヌの行動実験系の整備と個体データの収集を進めることができた。 しかし、研究成果を発表する機会が次年度以降に延期されたため、次年度以降は、3年間で得られたデータをまとめ、研究成果の公表に重点的に取り組む予定である。具体的には、すでに採択済の国際学会での発表と国際学術誌での論文化を行う。 さらに、本研究課題で明らかになった知見を踏まえ、今後は、イヌの視覚コミュニケーションの学習過程を明らかにするための大規模調査の方策について検討していきたい。
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Causes of Carryover |
今年度はイヌの行動実験の整備とデータ取集に伴う物品費が主な支出だった。また、得られたデータを解析する実験補助者や実験協力者への謝金についても支出した。一方、学会や論文等における研究成果公表については、次年度に重点的に取り組む予定である。したがって、英文校正費や出版費などの費用については繰越分とし、年度内に支出する予定である。
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Research Products
(2 results)