2020 Fiscal Year Research-status Report
長期記憶における音声の聴覚表象形成プロセスおよび聴覚表象の性質の解明
Project/Area Number |
18K13376
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Research Institution | University of Human Environments |
Principal Investigator |
西山 めぐみ 人間環境大学, 人間環境学部, 准教授 (00779770)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 聴覚的長期記憶 / 長期記憶 / 音声 / 間接再認手続き / 偶発学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,視覚的長期記憶に関する研究が急速に進んでおり,視覚刺激の詳細な情報が長期にわたって保持されることが明らかになっている (e.g., Blady, Konkle, Alvarez & Oliva, 2008) 。しかしながら,視覚的長期記憶に比べ聴覚的長期記憶に関する研究は十分に進んでいるとはいえず,英語習得については「日本語母語話者が英語音声の聴覚表象をどのように獲得していくか」という基本的な問いに対しても,いまだ明確な答えが得られていない。本研究は,日本語母語話者における日本語音声と英語音声の記憶表象形成プロセス,および,聴覚表象の性質について検討することにより,聴覚的長期記憶の性質の解明をめざすものである。 研究初年度は,日本語音声刺激として低頻度語,および,無意味綴を用いて聴覚的長期記憶の性質について検討を行い,偶発学習条件下で呈示された音声の記憶が3週間後にも保持されていることを明らかにした。次年度の令和元年度には,高頻度語の日本語音声刺激を用いた場合にも長期持続性が認められるか,また,当初の計画の通り,高頻度語の英語音声刺激を用いた場合にも同様に長期持続性が確認されるかについて検討を行い,研究初年度に実施した実験と同様の結果が追認された。 令和2年度については,低頻度語の英語音声刺激を用いた場合に同様の長期持続性が確認されるか,また,当初の計画にもとづき,日本語話者が区別することの難しい英語音声刺激(例えば,Right/Light)の記憶の長期持続性について検討することを予定していたが,新型コロナウイルス感染拡大の影響により実験を実施することができなかったため,当初の研究実施期間の延長を行った。令和3年度については,感染拡大防止対策を講じた上で,可能な限り令和2年度に予定していた計画に沿って研究を進めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大の影響により,令和2年3月以降に予定していたすべての実験を中止せざるを得ない状況であり,進捗状況は遅れているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度については,はじめに,当初の研究計画2年度に予定していた低頻度語の英語音声刺激を用いた実験を実施し,これまでの研究結果との比較を行う。そののち,当初の計画の通り,日本語母語話者にとって特に識別が困難である英単語(例えば,/right/ と /light/)を用い,これらの音声情報に対応する聴覚表象が,長期記憶においてどのように獲得されるかについて検討する。なお,これらの実験において,実験条件や手続きの設定に不備が見つかった場合はすみやかに実験を中止し,当該部分を改善した後,再度実験を実施する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響により,音声刺激の収集や実験の実施がやむを得ず中止となったことから,これに係る旅費や専門的助言者に対する謝金が発生しなかったことが挙げられる。次年度も引き続き,英語音声を用いた実験を計画しており,専門家による助言および英語のネイティブスピーカーによる音声データの作成,実験実施,研究発表など,未使用額はその経費に充てることとしたい。
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