2018 Fiscal Year Research-status Report
記憶抑制による評価低下メカニズムの多面的解明と一般性の検証
Project/Area Number |
18K13377
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
小林 正法 山形大学, 人文社会科学部, 准教授 (60723773)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 記憶 / 抑制 / 価値 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,指示忘却・検索誘導性忘却による価値の低下とし,2018年度は主に実験実施の準備や情報集を主として行った。その中で,本課題と関連する研究も実施している。例えば,検索誘導性忘却に関する研究として系列記憶に関する検索誘導性忘却の研究を実施した。系列記憶は項目自体の記憶である項目記憶(item memory)と順番の記憶である順序記憶(order memory)に分離できるとされている。言い換えれば,何を覚えたかという記憶が前者であり,どの順番で覚えたかが後者である。この研究では順序記憶だけを対象とする実験パラダイムを考案した上で,順序記憶の検索誘導性忘却が生じるかを調べた。その結果,順序記憶においても検索誘導性忘却が生じることが明らかになった。これまでの系列記憶の忘却理論では干渉(interference)による説明のみが述べられていたが,この研究によって系列記憶の忘却メカニズムとして抑止(inhibition)による説明も可能だと考えられる。また,現在,実験実施の準備として刺激選定のためのオンライン調査およびにオンライン実験プログラムも準備を進めている。オンライン調査によって様々な刺激の価値情報を収集した上で,適切な刺激を選定し,記憶の抑制による価値低下の実験を行う。オンライン実験プログラムについても,指示忘却・検索誘導性忘却ともに概ね完成している。オンライン調査に基づいて刺激選定を行った上で刺激を実装した上でテストを行い,実験実施を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年度の途中で,所属機関の異動があったため,研究準備に遅延が生じている。特に新しい所属機関での実験・調査実施前の倫理委員会の審査に想定以上の時間がかかった点が大きな理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度の4月の倫理委員会の承認が下りたため,倫理申請前から準備を進めていた実験・調査を本格的に実施する予定である。また,国内外の関連学会に参加し,最新の知見の情報収集にも努める。
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Causes of Carryover |
所属機関の異動に伴い,研究計画の多少の遅延が生じたため。
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