2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K13378
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
菅原 翔 公益財団法人東京都医学総合研究所, 脳・神経科学研究分野, 主任研究員 (80723428)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 運動学習 / 機能的MRI / 記憶 / 一次運動野 / 中脳 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、他者との競争が系列運動技能の定着を促進することを明らかとし、競争による定着促進を支える心理学的・神経科学的基盤を解明することにある。しかし、本年度当初より急激に蔓延した感染症の影響により、外部から参加者を募って行う研究を推進させることは叶わなかった。 前年度末時点で掲げた方針の内、(1)一次運動野の記憶統合に関する役割についての成果を国際誌へ投稿し、現在改訂を行っている(Hamano, Sugawara, et al., under revision)。(2)運動課題実施中の中脳と一次運動野の相互作用については、近日中に国際誌へ投稿できる段階まで進めることができた。また、研究成果について国内学会で口頭発表を行い(Sugawara et al., 日本神経科学会)、概要を総説論文として国内誌に掲載した(菅原・鈴木・西村, 2020)。(3)感覚運動皮質における記憶痕跡の詳細については追加解析を行っている状況であり、途中経過を含めて国内研究で発表を行った(Sugawara, JHBI Talk Series)。(4)両手系列運動学習中の神経基盤について、研究協力者が主体となって生理学研究所での実験を完了し、現在解析を進めている。 一方で、(5)競争による系列運動の定着促進についての行動実験は、所属機関での感染症蔓延に伴う予防策として外部被験者を対象とする実験が厳しく制限される状況が続いており、進展させることが叶わなかった。また、(6)中脳と大脳基底核の機能的連関を明らかとするための7 テスラMRI実験についても、緊急事態宣言の発令に伴う出張自粛要請のため、本実験を開始することができなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
感染症の蔓延に伴いヒトを対象とする実験は、中止せざるを得ない状況が続き、新たなデータを取得することは殆どできなかった。学会についても中止やオンライン開催への変更など不測の事態が続いたが、これまでにデータを取得済みの研究成果について、国内学会および研究会で発表を行うことができた(Sugawara et al., 日本神経科学会; Sugawara, JHBI Talk Series)。さらに、これまでに得られた成果を国内誌へ総説論文として掲載し、国際誌への投稿も順次進めている(Hamano, Sugawara, et al., under revision)。申請時点とは研究環境や取り巻く状況も大きく変化している中、これまでに蓄積したデータに基づいて一定の成果を得ることができたと考え、「やや遅れている」という自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに感染症に伴う遅れのために延長申請を行い、承認されている。来年度も感染症に伴う制限は継続すると予想される。特に外部から参加者を募る実験を実施することは困難であるため、これまでに得た成果を確実に国際誌へと報告することを優先させる方針である。具体的には、(1)一次運動野の記憶統合に関する役割についての成果を国際誌に掲載する。(2)運動課題実施中の中脳と一次運動野の相互作用についての成果を国際誌へ掲載する。(3)意欲と運動を繋ぐ神経回路の損益文脈依存性についての成果をまとめ、国際誌への投稿を目指す。(4)感覚運動皮質における記憶痕跡の詳細について追加解析を完了し、国際誌への投稿を目指す。(5)両手系列運動学習中の神経基盤について解析を完了させ、国際誌への投稿を目指す。
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Causes of Carryover |
感染症の蔓延によって、外部から参加者を募って行う実験を中止せざるを得ない状況となったため、被験者謝金が大幅に残っている。また、県境を越える出張の自粛や学会のオンライン化によって、出張経費にも残金が生じている。次年度も実験を進めることは困難であると予想されるため、研究成果の取りまとめを加速するための研究補助員への人件費に当てる。また、旅費としての計上分については、論文の投稿および掲載にかかる費用として使用する計画である。
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Research Products
(5 results)