2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K13384
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 勇哉 東京大学, 大学院数理科学研究科, 助教 (20780034)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ACC予想 / 極小ログ食い違い係数 / 有理点問題 / ファノ多様体 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は(1)ACC予想と(2)正標数の有理点問題について研究した。以下、詳細を述べる。 (1)ACC予想に関連した極小ログ食い違い係数に関する新しい予想をたてた。そして、2次元の場合について、その予想がどの程度成立するかを調べた。2次元の場合にどこまで成立するかを調べ、それを高次元の場合にも定式化をすることが狙いである。また、ACC予想に関連する論文がいくつか発表されたため、その解読を試みた。これらの論文により、コラー因子を持つような特別な特異点についてはBAB予想をACC予想に応用する方法が確立されつつある。この方法論を理解し、BAB予想をどのようにしてACC予想に応用するかを考察した。 (2)これまでの研究で、KLT特異点を持つようなファノ多様体についてEsnault型の特異点定理を証明した。またKLT特異点よりも悪い特異点をもつファノ多様体についての特異点についても研究していた。当該年度はこの研究に引き続き、KLT特異点より悪い特異点をもつような対数的ファノ多様体の双対複体を研究し、それが可縮であることを証明した。その応用として、3次元ファノ多様体における特異点の形を調べた。LC特異点をもつ3次元ファノ多様体のWitt vectorコホモロジーが消滅することを証明した。この結果を利用して、Ax-Katz型の有理点公式に双有理幾何学からの解釈を与えた。高次元の場合は証明することができていないが、定式化を与えたこと自体も重要だと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
極小モデル理論を用いて、ファノ多様体の特異点の双対複体を研究し、特異点の情報を調べることができた。これらの情報は元来、消滅定理を用いて調べることができたが、それを消滅定理を使わず得ることができた。従って、消滅定理が成立しない正標数においても特異点の情報を得ることができたことが重要であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度ACC予想に関連した極小ログ食い違い係数に関する予想を2次元の場合に最定式化することができた。今後の目標はこれを3次元の場合に証明することである。2次元の場合と違い3次元の場合には多くの難しさがある。まずは3次元端末特異点をもつ場合に、分類定理を用いることで証明を試みたい。またこの方針とは別に、BAB予想をACC予想に応用する方法について引き続き取り組みたい。近年、コラー因子を持つ場合には、BAB予想をACC予想を応用する方法が確立されつつある。この方針を突き詰めると同時に、コラー因子を持たない場合にも新しい方法を確立することを目指す。
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Causes of Carryover |
2018年度に参加予定であった集会が他の研究集会と同日程であったため、予定していた出張の一つを取りやめた。そのため2018年度の助成金の一部を2019年度に持ち越すこととなった。2019年度はアメリカで双有理不変量の情報収集を予定している。アメリカ国内での旅費として用いる予定である。
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Research Products
(9 results)