2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K13384
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 勇哉 東京大学, 大学院数理科学研究科, 助教 (20780034)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 極小モデル理論 / ACC予想 / LSC予想 / PIA予想 / 特異点 / 極小ログ食い違い係数 / MLD |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、昨年度に引き続き、商特異点の極小ログ食い違い係数について研究した。超商特異点とは超曲面特異点の有限商となっているような特異点のクラスである。極小ログ食い違い係数に関する予想としてLSC(lower semi-continuity)予想とPIA(precise inversion of adjunction)予想があり、極小ログ食い違い係数を研究するモチベーションとなっている。
昨年度までの研究において、群作用が線形である場合に、PIA予想とLSC予想の成立を証明した。また、さらにそれを群作用が線形と限らない場合に証明している。いずれの場合も、超曲面の定義多項式が、群作用で不変な場合を扱っていた。本年度は、柴田康介氏との共同研究により、超曲面の定義多項式が群作用で不変とは限らない場合(semi-invariantの場合)を研究し、その場合のPIA予想とLSC予想の成立を証明した。このカテゴリーは、3次元端末的特異点を含んでいるため、より自然なクラスであり、応用も期待できる。また、Cartierとは限らないWeil因子へのPIA予想を証明した初めてのカテゴリーである点でも重要だと考えている。
昨年度までの研究と同様に、証明には弧空間の理論を用いている。今回の新しい点は、semi-invariantな元を扱うために、新しい不変量を導入している。この不変量が、極小ログ食い違い係数を弧空間で表示する際に重要となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、超曲面特異点の有限商となっているような特異点のクラスを扱っている。昨年度までに、一番重要なinvariantケースについて理論を完成させた。今年度は、残っていたsemi-invariantケースについて理論を完成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
超曲面特異点の有限商となっているような特異点のクラスをこれまでの研究で扱っている。超曲面特異点に限らない一般の商多様体について統一的に扱うことを一つの目標としている。また、これまでの研究では、証明に必要となる特異点の仮定をつけている。この仮定を外すことも目標となっている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスにより、昨年度以前に参加予定のいくつかの研究集会が延期されたため。
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Research Products
(7 results)